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眉毛を剃った

作者: 告心
掲載日:2017/05/21



ベッドの上。壁に背を預けて座って本を読んでいた。幸せな僕。


そこに突然飛びかかってきた君。馬乗りになった君は、僕の顔を見て言った。


「眉毛剃ろっか」


そう言うと、君の手にはどこからともなくハサミを取り出す。あれよあれよという間に本を取り上げられ、眼鏡を外され、僕は眉毛を剃られてしまうことになった。


ショキショキと。ハサミを動かして定期的に毛を落とす。手際よく、丁寧に君は眉毛を整え始めた。


真面目な表情をした君は、とても綺麗で、かっこよかった。

いつも見ない近さに君がいた。真剣な瞳をこちらへ向けていた。


じっくり見られてしまう。この沈黙のままでは心臓が耐えられない。

視線を逸らした僕は、携帯型の音楽プレーヤーを見つける。


「ちょっと手を止めて」


そうお願いして、僕はそれを手に取った。

入ってた曲は、直裁に恋を謳ったJ-POP。左耳につけたところで、少しふくれっ面の君と目が合う。

僕は少し考えて、残ったイヤホンを君の右耳へ。


キョトンとした顔の君。「一緒に聴きたくて」と言えば、唇にキスが一つ。「好き」


赤いほっぺになった君は、また真面目な顔でハサミを動かす。


僕はその顔を見て思う。綺麗だ。

もっとよく見ようと、目を凝らす。右眉はカットされていて、左目だけで。

君のシンメトリーの瞳に、下手なウインクした僕が映った。


「何見てるの」


じっと見ている僕へ、君が告げる。僕は口を開かない。君を見るのに夢中だった。

無言に少し怒ったのか、音が少し乱暴になる。ショキショキ、から、ジョリジョリ、と言った具合に。

嫌な予感がする。思った途端、ぶちりと何本か眉毛が引っかかって抜けた。あまり痛みはない。


「ごめんね」


不機嫌が不安と取って代わった。そんな顔の君に、「別にいいよ」とだけ伝えてまた黙る。

少し戸惑った君は、もう一度切り始める。ショキショキ。

一曲目が終わった時、君は大方、伸びすぎた眉毛を切り終え、ハサミをカミソリに取り替えていた。


今度は先ほどよりもっと丁寧に。ずっとゆっくり整えていく君の手は、とても穏やかだ。


左右をカミソリが往復する度、目を瞑りなおしては開く僕は、百戦錬磨の眠気と戦っていた。

ついに陥落した僕。うとうとと首を壁に預けていると、何かが眉をなぞる。


目を開ければ、君が僕の眉を撫でていた。

すっと撫でて、途中から思い出したかのように優しくなでてきた。なんども、なんども。


僕は言った。


「ありがとう。今日も好きだよ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 2人の関係性がとても温かく、良かったです [一言] なぜ眉毛を題材にしたのか、その点に疑問を感じて読みました。 第一印象で大事な部分なので、タイトルの眉毛は読んでいる最中でも頭に残っていて…
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