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第五話「責任」

 

「勇者様!」

「待て待て、偶然だよ。たまたま剣が抜けやすい状態だっただけで」

「今まで幾たびの人がこの剣を抜こうとしました」

「剣が勝手に」

「この剣が勝手に抜けるという事態は今までありません」

「剣が気まぐれに」

「剣に気まぐれなどという感情はありません」


 どうあがいても俺は勇者なのか。

 俺はただの学生だ。勇者になる器なんか。


「私は貴方が勇者になる前からその気質を感じていました。実際に貴方は勇者になられた。これほど嬉しいことはありません」


 姫様であるキュアリスにそこまで言われるとは。


「私めも貴方様は勇者様だと思っておりました」


 うん、マルクスは嘘をついてる。

 そんなことより


「俺に勇者になる資格なんてない。第一俺は勇者になりたいなんてこと一度でも思ったことはない」

「でも貴方は勇者なのです」


 姫様の言葉が重い。


「第一勇者になってどうするというんだ」

「それはこの本の続きに書いてあります」


 キュアリスが指さす行を俺は見つめる。


「勇者は因縁の魔王と戦うことになるであろう。勇者が現れたとき、魔王の訪れも近し」


 魔王と戦えってのか。冗談じゃない。


「俺は貴方たちが思ってるほどの人間じゃない。魔王となんか」

「さっきも言いました。貴方にはその気質を感じると」


 キュアリスは強づよと言い放つ。


「しかし……」

「もちろん、貴方一人でとは言いません。この本には貴方が誰と出会い。何と戦うのか。曖昧な言い回しですが、ちゃんと記述されています」

「俺意外にも?」

「はい、私も貴方と共に戦います」

「戦うって姫様が!?」

「キュアリスとお呼びください。私はヒーリングが使えます。少しの戦力にはなるかと」


 そう言いながらキュアリスはにっこりと笑う。

 その笑顔に癒されつつ、俺はこれから先のことを考える。

 勇者になって魔王と戦う。

 一人じゃないとしてもやはり怖いものだ。

 だが、俺は勇者としての責任を嫌々だが背負ってるわけで……。

 よし決めた!


「俺は勇者じゃない」

「嫌なのは分かりますでも「だがその責任があるとしたら果たしたい」

「リギル……!」

「これからよろしく頼みます。姫様」

「キュアリスとお呼びください。勇者リギル」

「俺のことも勇者とは呼ばず普通にリギルと呼んでくださって結構です」

「分かりました。リギル」


 こうして俺は勇者として頑張ることになった。

 勇者としての責任。

 俺には重すぎる。

 だが、果たすしかない。

 ここで逃げたら魔王とやらに世界は滅ぼされる。

 しかし、なぜ俺が勇者なのだろう?

 魔王に因縁があるのも不思議だ。

 まあ今は考えないでおこう。



――。


「人の力で世界は幸福に変わる! 俺はそう信じてる!」


 あの時お前はそう言った。

 なら試そうじゃないか。

 俺を失望させるなよ。リギル。

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