表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

第二十三話「ビレイルの憂鬱」

 

 俺達は預言書と呼ばれる本に従って、その目的地に向かう。その道中。

「姫、この船はやめよう。嫌な予感がする」「ビレイル、貴方の感は当たりますが、今回は預言書の通りにしてみませんか?」「姫がそう言うなら構わないが……」

 キュアリスがビレイルを説得し、僕達は目的地に向かう為、ビレイルが嫌な予感がするといったこの船に乗ることになった。


「いやあ、船に乗るのは久しぶりだぜ! ビレイル様! 一緒に黄昏ましょう!」「勝手に一人で黄昏ていてくれ。私は部屋に戻る」「そんな、ビレイルさまああ!!」

 ビレイルからのマラカスの扱いは相変わらずだ。


 数十分経った頃、

「さてと、俺も少し部屋に戻って休憩するか」

 俺は踵を変えそうとした。その時。

「何だ!?」

 船が急に大きく揺れた。

「大変だ。クラーケンが船に張り付いて来ているぞお!」

 男性が大声を上げる。クラーケン? 魔物!? ビレイルの嫌な予感が的中したってことか!

「何だ? 何が起きている!?」

 ビレイルが駆けつけて来る。

「何かクラーケンっていう魔物が船に張り付いているみたいなんです」「なるほど、船を揺らすほどの大きさだとするとデビルクラーケンか」「知っているんですか?」「まあ、私も一応戦士の端くれだから魔物の知識は少しぐらいはある」

 一応戦士の端くれってビレイルさん貴方、蝶蜂の戦士と呼ばれているんですよ。

「デビルクラーケンは……あそこだな!」

 ビレイルが走り出す。速い! これ馬より速いんじゃないのか? とりあえず俺も続こう。

「ぶおおおおおおおお!!!?」

 と思った瞬間にデビルクラーケンは木っ端微塵になった。さすがは蝶蜂の戦士。その異名は伊達じゃない。こうしてデビルクラーケンの体は船から離れる。


「ああ、救世主様!」「まさか! あのお方は!」

 デビルクラーケンが倒れて、数分後。ビレイルの周りに人だかりが出来る。

「蝶蜂の戦士、ビレイル・ビリアート様!」「まずい、目立ってしまったか!」

 周りが歓声で湧き立つ。ビレイルは焦っている。どうしようこの場を抑えたほうがいいとは思うけど……。ただ、その後すぐ。

「何だ!?」

 地震のような揺れが起こった。

「大変だ! 穴が空いていて水が大量に船の中に入ってきているぞお!」

 ビレイルに夢中だった大衆が船の穴のほうへ向かう。

「私達も行きましょう!」「ああ!」


「これは……」「もうこんなに水が入ってきているなんて……」

 どうする? これはまずい。このままだと船は沈む。

「魔術は研究中だが、とりあえずやってみるか。ハーッ!」

 唐突にビレイルはそう言うと、穴が空いているところに手を翳す。すると水が凍り付き、船に水が入らなくなった。


「一応、何とかなったか」「ビレイル様、貴方まさかこんなことまで出来るなんて……!」

 マラカスがビレイルに熱い眼差しを向ける。

「さすがは我らのヒーロー! ビレイルッ! ビレイルッ!!」「あの、困るのだが……」

 ビレイルの活躍にマラカスを含めた大衆はメロメロだ。


 これ……さっきのクラーケンよりやばい状況じゃないか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ