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第二十話「シーパラダイス岸」


「何とか凌いだか。だが、また今回も遅れを取ってしまったな。リギル殿の手助けがなければ私は死んでいただろう」

 ビレイルはそう言いながら、思考を巡らすポーズをしている。そして、しばらく考え込み私に話しかける。

「しかし、君は不思議だ。どうやってあれほどの力を発揮出来たのか?」

「それは俺にも分かりません。ピンチになり、死んだかと思いきやいつの間にか戦えていたという感じでしょうか」

「ふむ、君自身にもそれは分からないか」

「これからは私のことを馬鹿力のリギルとお呼びください」

「ハハハ、面白い発言だな」「意外と”お前面白そうだな”」

 何だ? マラカスのその発言にデジャヴを感じる。


「それよりもせっかく、ビレイルの領地にいるわけだしあの場所に寄りません?」「姫……ま、まさかあれを!?」「良いではないですかビレイル。皆さんも行きましょう」


 キュアリスの言うあの場所とは何だろうか? 後、ビレイルの驚き様。気になるな。ということで俺達はキュアリスが誘う場所へと向かうのだった。



――魔王謁見前。


「トリマー、戻ったか」

「はっ!」

「どうだ? 敵の戦闘力のほどは」

「蝶蜂の戦士、他2名は問題ありません。しかし、1名だけ厄介な戦士がいます」

「ほう、その戦士の名は?」

「戦っている最中に蝶蜂の戦士が咄嗟に発した言葉で名前は聞いています。リギルと呼ぶみたいです」

「そうか、もう下がって良い」

「ハッ」

 あのリギルという戦士に、僕やガルアスは苦戦した。彼は初見で見る分には強い印象はなかったものの、覚醒をしたのだろう。覚醒後の彼の動きには人族最強の僕ですら手こずった。私達があの戦士に勝つにはやはり覚醒する前に殺すしかないわけだが、それをどうやって上手くやるか? また、あの戦士ほどではなくても敵にはあの蝶蜂の戦士という厄介な存在もいるのだ。 それらについて、ガルアスやミーチェと念入りに作戦を練っておく必要性を感じる。どの道、面白い。僕より遥かに強い相手リギル。もっとその強さを僕に見せておいで、それでこそ倒しがいがあるというものだ。


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