第十七話「敵を測る者」
「”私があなたを癒します”」
――。
「ん、うう」
俺は目を覚ました。
「リギル! 良かった! リギル……リギル!」
キュアリスが俺を抱きしめる。いい匂いがする。
「リギル殿、お目覚めか?」
「はい、あの」
「何だ?」
「あの精霊族の女性とはどうなりましたか?」
ビレイルは少し考えた後、
「何とか巻き返してはみたものの、仕留めそこなった。すまない」
と謝罪した。
「いいのですよ。ビレイル。あの氷術使いに対して巻き返しただけでも、十分すごいのですから」
「そうですよ、ビレイル女神様。貴方の魅力に敵ですら怖気付いたのでしょう。さすがは私の妻、ビレイル・びりあーっグハッ!」
「あまり、私に近寄るな。うっとおしい」
ビレイルとマラカスの関係も相変わらずだ。
――魔王謁見前。
「ミーチェ。貴様も失態だな」
「申し訳ありませんでした」
「ハハハッ!、ミーチェ、てめえが吠え面をかくことになったな! ハハハハッ!」
「あら、ガルアス。先に吠え面をかいてたのは貴方じゃない。もうお忘れ? 獣族って頭悪いのね。オーホッホッホ!」
「てめえ、いつかぜってえ殺す!」
「まあまあ、二人とも仲間同士で喧嘩は良くないと思うよ」
「人族のトリマーか。ふん」
「魔王様。今度は私め、トリマーを出撃させてもらえませんでしょうか?」
「トリマーか、いいだろう」
「ただ、魔王様。ご無礼を承知で申し上げますが、今回の私めの出撃の目的は敵を殲滅するのではなく、敵の戦闘力を測ることにあります。予めご了承くださいませ」
「それでも良い。行け」
「ハッ!」
ガルアスとミーチェを手こずらせた相手、どれほどのものか? 楽しみだ。




