第十五話「精霊族氷術使いミーチェ」
闘技場の優勝者が決まった。ビレイルだ。
「さすがビレイル、ビレイルの動きっぷりは相変わらず見てて飽きないです」
「姫、あまり私をおだてないでください。私は別に強くなど」
「そういう謙虚なところも評価高いですよ」
「はあ」
ビレイルは優勝したというのに嬉しくなさそう。で、多分それは、
「さすがビレイル様、戦いの女神。是非とも私ともベッドの上で対戦をガハッ!」
こいつマラカスも関係しているのだろう。
「なあ姫」
「はい?」
「この変態野郎は別に私達のパーティに必要ないのではないか?」
「それが、彼のこともこの預言書に書いてあるんですよ」
「そう……なのか」
いかにも残念そうなビレイル。そりゃそうだ。四六時中、変態に付け狙われては、まともな精神を保てないのだろう。俺ですら分かる。
「それよりも預言書でミハイル街に迎えと」
「ミハイル街に何かあるのか?」
「それは分かりません。ですが、預言書の言う通りにしたほうが良さそうです」
とりあえず、俺達はキュアリスの言う通りミハイル街に向かうことになった。
――ミハイル街。
馬で移動すること2時間。ミハイル街と呼べるところに辿り着いた。
「酷い……光景ですね」
「ああ」
辺り一面凍っている。人も建物も……。
「誰が……こんなことを」
「姫! 危ない!」
ビレイルが咄嗟に、キュアリスの前に出た。そして、剣を振るう。
「オーホッホッホ! 私の氷球を斬り捌くとは貴方なかなかやるわね」
目の前に一人の女性が現れた。




