第十四話「ビレイルの実力」
「ビレイルさん」
「何だ?」
「貴方は本当に男なのですか?」
俺は自分の率直な疑問をビレイルにぶつける。
「何を言う!? ビレイル様は女神様なのだぞ! 男なわけガハッ」「とりあえずこの変態は置いといて」
ビレイルがマラカスに裏拳をぶつける。
「ああ、男だ。まあ女に見られがちだが」
見られがちどころか、どっからどこまで見ても女にしか見えないんだが……。
「とりあえず話はここまでだ。闘技場に行ってくる」
「期待していますよ。ビレイル」
「姫にそう言われるなら、応えねばならぬな」
ビレイルはそう言うと踵を返した。
――――。
一時間経った頃、ビレイルの番が回ってきた。
「第一試合三回目! ガードバ・デッタインVSビレイル・ビリアート」
戦いが始まった。ビレイルは右手に握ってる剣を構えもせず、ゆっくりと対象へと歩きだす。
対するガードバと呼ばれる大男はデカい斧を構え、ビレイルへと走り出す。
「すげえ」
思わず俺は声を漏らす。ビレイルは大男が突進しているのにも関わらず、スピードも変えずにゆっくりと歩き大男が斧を振り上げ振り下ろす瞬間の隙を見抜き、軽く横に回避して、右手に握っている剣を男の首元に突き付けた
「さすがは蝶蜂の戦士、やるじゃねえか」「降伏するなら命までは奪わんが?」「俺が降伏すると思うか?」「そうか、残念だ」
ビレイルは突き付けた剣を振るい、男の首を刎ねた。
「勝者ビレイル・ビリアート!」
会場は拍手の渦に包まれた。
「これが……ビレイルの実力……」
確かに前前からビレイルの凄さは分かってはいたが、ここまでとは……。てか、これビレイルが勇者やったほうが良くね? 改めてビレイルの実力を見てそう思う俺だった。




