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3話・裏

『私は絶対に……絶対に諦めないんだからぁぁ!』





「……はい!カーット!オッケーィ!今日はここまでにしよう。お疲れさま。」


「お疲れさまでしたぁ!」


「はいはい。じゃあまた明日よろしくぅ!」


「はーい。」


ふぅ。終わったぁ。


「よし!今日も無事終わったね詩音。」


「うん。夏菜かなの最後のセリフばっちりだったね!」


私は今『にじいろチョコレート』の初主演映画の撮影に追われてます。

今日はリーダーの夏菜と一緒の撮影で、夏菜のセリフがビシッと決まった所で今日の撮影は終わりです。


「でしょ!でしょ!かっこよかった?」


「最っ高にね!」


「きゃーっ!詩音大好き!チュッ!」


私が演技を誉めると夏菜はいつもこの調子。ふふっ、可愛い奴め。


夏菜はリーダーだけに出演シーンが多くメンバーの中で一番忙しいけどいつも笑顔で元気一杯。

私はそんな夏菜が大好きで、凄く尊敬してる。


「ねぇ詩音。マネージャーさんと何か食べに行かない?私お腹ペコペコだよ。」


「あー、ごめん。今日は先約があるんだ。」


「えぇー。そんなぁ。何?先約って。」


「ゲームだよ。ファンタジーアース。」


「なんだぁ。ファンタジーアースかぁ。誰とプレイするの?れいももあや?」


私達はファンタジーアースとコラボしてコマーシャルしているのでメンバー全員がこのゲームを専用キャラでプレイしてる。


この、にじチョコメンバー専用キャラは外見的特徴はモチロン、声やアクションも全て私達自身を元にして作られたキャラクターで、私達は普段はその専用キャラでゲームをプレイして、一般のプレイヤーとゲーム内でコミュニケーションをとったり、キャラクターの姿でライブしたりしてるの。


それに、戦っても強いんだよね。

一人一人が最後の大魔王クラスの強さに設定してあるらしい。

こーゆーのチートって言うのかな?

まあ、専用キャラの時は魔物と戦ったりしないからあんまり関係無いけどね。


「ううん。私ね、普通のキャラを作って自分で遊んでるの。今日はゲーム内で知り合った人とパーティ組む約束してるの。ごめんね。」


「ふーん。じゃあ普通のキャラ作ったら私もパーティに入れてくれる?」


「モチロン!」


「よし!私も早速やる!じゃあまたね詩音。バイバーイ。」


そのまま夏菜は気合いを入れてマネージャーさんとタクシーで帰っちゃった。


あっ!そうだ!


キャラクターはパンの名前にするようにメールしとこっと。


◇◆◇◆


「それで、それで?その後は?」


「なんにもないよ。二人共先生に投げ飛ばされて、それでお仕舞い。」


「あっはっはっ!凄いねその先生!合気道かぁ。私も習おうかな? 」


急いで帰ってすぐにログインしたけど約束の時間になってもメロンパンはゲーム内の待ち合わせ場所に来なかった。


女の子を待たせるなんて!


って思って待ってたら学校で先輩とケンカしていたらしいんだ。

しかも私の事でケンカになったらしい。


私って罪な女だわ。ん?ちょっと待って……


メロンパンの話ってよく聞くと。私のクラスメイトで、私と同じ図書委員……


って事はメロンパンってトシ君じゃん!


はぁ。世の中凄い偶然もあるもんだね。

オンラインゲームで初めてパーティ組んだ見知らぬ人が実はクラスメイトだなんて。


てゆーか、トシ君て私の事めっちゃファンとか言ってなかった?

今日も私の為にケンカになったらしいし……


どうしよう……なんか恥ずかしくなってきた……


「そんなこんなで今日は遅くなった。悪い。」


「ううん。気にしてないよ。ふふっ。でも、メロンパンが詩音ちゃんの為にケンカかぁ……カッコいいね。」


知らない人のふりしなきゃ。

私は今カレーパン。詩音じゃない。

よし。女優魂の見せどころね。


「う~ん。でも、結局その先輩とは何の解決もしてないからね。揉めた事で余計に詩音には迷惑かけちゃうと思うんだ。」


「そうだね。自分の知らない所でクラスメイトと先輩が自分の事でケンカなんて普通は迷惑だろうね。変な噂とか広まったりしてね。」


「うっ、手厳しいな……」


嘘だよ。全然気にしないよ。ふふっ。


「でも、今回は大丈夫だよ。私が保証するから。」


私はカレーパンにゲーム画面で胸を張るアクションをさせる。


「カレーパンに保証されてもしょうがないと思うけど……」


「いいの!とにかく詩音は絶対に怒らないから大丈夫なの!」


本人が怒らないって言ってるんだから大丈夫にきまってるでしょ。


「はいはい。分かった分かった。カレーパンを信じるよ。」


トシ君はしぶしぶながらも少し笑ったような声でそう言ってくれた。

なんだかトシ君との会話って小さい頃からの友達みたいな感じで落ち着く。


「よろしい。じゃあクエスト行こ!もうこんな時間だよ!」


時計を見るとログインしてからもう一時間近く話し込んでいた。

急がなきゃクエストの時間が無くなっちゃう!


「あっ、ホントだ。よし行こうぜ相棒!」


「うん。イエローベーカリー出陣!」


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