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06

結局、すぐに付いていけなくなって、メーアお姉様に抱っこされることになりました。あなたも見かけによらず力持ちですね。私に合わせてゆっくり歩いてくれていたのに申し訳ないです。


家は大きくて、屋敷という方がしっくりくる。キッチン、リビング、応接間、家族の部屋の位置などを巡りながら教えてくれた。他には使用人の部屋もあるらしい。


《えっと、ここが最後の部屋だよ》


お姉様が扉を開ける。そこは壁いっぱいに本棚が取り付けられていて、本がみっしり詰まっていた。


《ここが図書室。お、御父様も御母様も読書家だから、こんなにいっぱいあるの。ええっと、これで全部じゃなくて……》


お姉様が説明してくれていたけど、途中からは耳に入らなかった。


本、本、本。壁一面の本を見てテンションがうなぎ登りだ。

自宅に図書室があるなんて、なんて贅沢。


《お姉様、中に入ってもいいですか!》


《う、うん。本を出すときは気をつけてね。お、落ちてくると、危ないから》

そっと私を下ろしながら、注意を促す。


本の出し入れすら心配されるとは……。

だがしかし、私のテンションは下がりません。魅惑の空間へいざ行かん!


一番手近なところから一冊抜き取ってページをめくる。


おお、読める!正直、一から勉強かと思いましたが、見慣れぬ文字でもすらすら読めます。流石人魚ですね。ハイスペックです。暫くはここの本の読破を目標に頑張ってみましょう。


うきうきとページをめくっていると、アディに後ろから抱きつかれた。


《ねぇ、サリア次に行きましょう》


どうやら彼女はおきに召さなかったようです。


《お姉様、また来てもいいですか?》


《う、うん。気に入ったみたいでよかったわ》


お姉様に許可をいただいたので、読書はまたの機会にする。


《次はお庭ですよね、お姉様》

アディがこれまで以上にはしゃいでいる。どうやら外に出られることが嬉しいみたいです。


書斎を出ると、お姉様は廊下の窓のから外にでた。窓からはお城が見えた。


泳げるのならこれくらいの高さなんて何でもないですよね。でも、防犯面が凄く気になります。

お姉様に聞いてみたところ、魔術で許可なく屋敷に侵入できないようにしているようです。

さらっと言われましたが魔術も使えるんですね!さすが、ファンタジーな生き物です。


お庭はカラフルな珊瑚や、イソギンチャクがいっぱいで綺麗だった。

タツノオトシゴなんかもいて、可愛かったです。今度はお弁当を作ってもらって、ピクニックなんかをしてみたいですね。


その後はちょうど頃合いだったのでお昼を食べに戻ることになりました。





席に着いたのは私たちとお母様だけ。疑問に思ったのかアディが訊ねると、三人は仕事で出かけているそうです。メーアお姉様も午後からは出かけるよう。


《ごめんなさい、お姉様。お姉様もお仕事があったんですよね。お仕事の邪魔をしてごめんなさい》

アディが申し訳なさそうに謝った。


《お時間を取らせてしまって、ごめんなさい》

私のせいで大幅なタイムロスになってしまったでしょう。


《き、気にしないで。最近は全然忙しくないから、大丈夫だよ》

私達の頭をそっと撫でながら気遣ってくれる。うちの家族は皆凄く優しい。


ちょうど、ご飯が運ばれてきたので話を中断して、食べ始める。

朝のリベンジと言わんばかりに食べすすめたのですが、結局は断念。

無念です。いつか食べきれる日が来るのでしょうか……。

アディは動いてお腹が空いたのか、私の残した分もペロリと食べてくれた。抱っこされてばっかりだから、食べられないのでしょうか?


《い、行ってきます》

お姉様は食べ終えるとすぐに行ってしまった。相当急いでいるのか、凄いスピードで泳ぎ去っていった。


うぅ、申し訳ないです。


その後の予定は《今日のお話を聞かせてくれる?午後からはお部屋でゆっくりしましょう》というお母様の提案で午後からはまったり過ごすことが決定しました。


アディのベットの上で今日一日の出来事をお母様に話した。ほとんどアディが話してくれたから、私は補足をするだけ。屋敷中を回って疲れたのか、まぶたが段々落ちてくる。


今日もほとんど自分で泳いでないのに、疲れたみたいです。生まれたてって本当に大変。自分で泳げるように、少し練習が必要そうですね。


二人の楽しそうな声をBGMにして、ゆっくりと眠りについた。



お気に入り登録してくださった方本当にありがとうございます。感激です。これからも頑張っていきますので、最後までおつきあい頂けると嬉しいです。

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