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05

長い廊下を抜けていく。天井はとても高くて、鯨が来ても大丈夫そうです。


初めはお母様の後を泳いでいたけど、私は早々付いていけなくなってお母様に抱っこされることになりました。

隣ではアディが普通に泳いでいるから、いたたまれない。


てゆうか、広すぎません?あの貝のベットってキングサイズみたいに大きかったですし、部屋だって畳何畳分だよってくらいの広さ。学校の廊下よりもこの廊下は長いし、あんなに高い天井もここでは普通なのでしょうか?


考え込んでいると大きな扉の前に着いた。お母様が右手で軽く押すと、重量感ある扉が静かに開いた。


部屋の中央には長いテーブルがあり、上座にはお父様が、両サイドにはお姉様達が座っている。


《おはようございます。お父様、お姉様》

《おはようございます》

アディにつられるように挨拶した。


《おはよう。席に着きなさい。朝御飯にしよう》

そう言ってお父様は微笑んだ。


お母様に促されて、私はメーアお姉様とミラナお姉様の間に、アディはベラお姉様の隣に座った。


すると、ワゴンを引いた海亀と女性の人魚が出てきて給仕をしてくれる。


目の前に出されたのはお皿に盛られた海草。ナイフとフォークも渡される。

まあ、自分の尾びれを見ながら、魚を食べるのは気が引けますよね。どうやら、人魚はベジタリアンのようです。


ナイフとフォークを使ってもっしゃもっしゃと食べ始める。


まずい。たいへんまずいです。いや、料理じゃなくて。 メイドさんがいることからして、もしかしなくても我が家の地位は高いですよね?私、マナーとか全然わからないんですけど、大丈夫でしょうか……。下手に前世の記憶がある分、ごちゃ混ぜになって苦労しそうです。


チラッと視線を上げてテーブルを窺うと、ベラお姉様がアディにナイフとフォークの使い方を教えていた。アディのお皿の周りには海草が飛び散っている。

見かけは高校生でも、生まれたてでは何でもできるわけどはないようです。

一生懸命、ナイフとフォークで格闘している。


両隣を見ると、メーアお姉様とミラナお姉様が驚いた顔をしていた。


ヤバイです。何かやらかしたのかもしません。ここではこぼして食べるのが正しいマナーとか?生まれたてってことで大目に見てほしいです。


《あの、お姉様、何か至らないところがありましたか?》

恐る恐るきいてみる。


《ち、違うの。あ、あんまりにも、上手に食べるから、驚いたの》

メーアお姉様は慌てて否定してくれる。


《本当に。初めてとは思えないほど上手ね》

ミラナお姉様もそう言って頭を撫でてくれた。

お父様とお母さまはにこにこしながらその光景を眺めている。


あれ?フリージアお姉様がいない。食べ終わったらきいてみましょう。





あっという間に皆食べ終えました。私を除いて。ナイフと格闘していたアディも彼女に教えていたベラお姉様もしっかりと完食している。


私より食べ始めるのは遅かったはずなのに、何故だ!うぅっ、もうムリです。お腹いっぱいです。いったい細い体のどこにそんなに入っていったんですか。お皿の海草はキャベツ二玉分ぐらいありましたよね?もったいないとは思いますがギブアップです。


《お父様、ごめんなさい。もう食べれないです》

"お残しは許しまへんで"の精神は万国共通でしょうから、身をすくめて怒られるのを待ちます。


《もうお腹いっぱいなのかい? 気にしなくて良いよ。その代わり、お腹が空いたらすぐに言いなさい。用意させるから 》

とても心配したように言われた。


まさかのお叱りではなく慰めがきました。哀れなほど、私は小さいんですか。確かにアディと比べると小さいけれど、人間の頃では普通サイズでしたよ?


《はい、お父様ありがとうございます。ところで、フリージアお姉様がいらっしゃいませんが、どうかされたのですか?》

返事ついでにきいてみると、旅にでた、とのこと。自由人ですね。


この後は、メーアお姉様が家を案内してくれるそうです。案内が必要な家って……どれだけ広いんですか?


椅子から降りると、メーアお姉様が右手をひいてくれる。アディも私の隣にきて左手を握った。


両手に華とはこの事ですね。

さあ、探検に出発です!



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