はだしのままで
今日は来るんじゃないかって思っていた。
思いながらも、私は机の上にケーキを置いた。丸くて大きなイチゴのケーキ。私一人では食べきれない程の量だ。
私はケーキにロウソクをたて並べる。去年より一つ増えたロウソクは若干、悲しさを伝えるが、私は気にしないように火を付けていった。
最後の一本に火を付け終わった時、ふとあの人を思い浮かべた。去年のクリスマスに一緒だったあの人。今日のこの日こそいて欲しいあの人。その人は、今はいない。
来てほしいな…
一緒に笑ってケーキを食べていた。あまりの甘さに、苦笑いをしたあの人。私のケーキからイチゴだけを奪っていた。本当に、ここにいてくれたなら。
なんて玄関を見ると、急にチャイムが鳴った。いつもなら機械的なそのチャイムに、私は暖かさを感じるわけがなかった。ドキッと高鳴る鼓動をよそに、私は駆け出した。あの人が来たと。それ以外を思うことなく飛び出した。
青い空がとても綺麗で、道の上には散った桜の花びらが風に舞い。遠くからは笑い声と、逃げろと言う少年たちの掛け声。
私は駆け出した。
少年たちに被ったあなたの姿を追って。
あぁ、こんなにも。私はあの人に逢いたいんだ。この気持ちはきっと、誰にも変えることなんてできやしない。ピンポンとチャイムを鳴らした。これだけチャイムにドキドキするのは、今日くらいなものかもしれない。
あなたは何て言うのだろう。
白い雲の浮かぶ空。ほんのり暖かな風が吹いて、あなたは扉を開けて姿を現した。
あなたは私の姿を見て笑った。それを見て、私もようやく気付いた。
「あなたの事が、好きです」
と。
滅多に書かない恋愛ものを始めに投稿してしまいましたが…いかがだったでしょうか?当人、砂を吐きそうな気分ですが、気に入っていただければ幸いです。^^