H(遁世者)
R : 本日は、田舎暮らしをしながら書いたブログや本が人気のHさんに
お話伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします。
H : よろしくお願いします。
ここに人が来るのは久しぶりなので、嬉しいです。
R : そうなんですね。
人を避けて生活されているから、お邪魔するといけないと思ってました。
歓迎していただいて嬉しいですが、意外です。
H : 皆さんと同じように、
自分の気に入った人と、たまに話す事は好きなんですよ。
R : 山の中の生活は誰にでも出来るものじゃないですけどね。
H : 虫とか平気な人は意外といけると思いますよ。
R : Hさんがこういう生活を始めたのは、いつからですか?
H : 5年前、35歳の頃ですね。
20代後半から、小学生のころに暗唱した徒然草が自然に思い出されて、
そういう生活を送るための準備を整えていきました。
R : 「つれづれなるままに、日暮らし硯すずりに向かいて、
心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、
あやしうこそものぐるほしけれ。」ですね?
H : おぉ、そうです。
R : Hさんが兼好法師の事をブログに書いてらしたので、予習してきました。
小学校だったか中学校だったか、暗記した覚えがあります。
H : あれしてこれして、と予定がぎっちり、というのは性に合わないんです。
おなかすいたから、なんか食べよう、とか、
暗くなったから寝よう、とか。
そういうふうに暮らせるのがベストですね。
農作業とか釣りとか、そういった事にかなりの時間費やしていますが、
人との折衝がなく自分で思ったようにに出来るので、
やってて嫌ではないです。
R : 農作業や釣りをされているから、
ああいった季節感のある文章が出来上がるんですね。
ところで、ここ電気やインターネットがつながっているんですね。
H : 元々ここは、祖父の家だったんです。
築100年は経ってますね。
祖父が住んでる時から電気は通ってて、
何年か前にそこの山にアンテナが出来たみたいです。
R : こう言ったらなんですけど、そこまで遁世者って感じでもないですね。
H : ですね。遁世者は、言ってしまえばポーズです。
兼好法師もそうだったみたいですよ。
人との交流もあって、お金も使ってたみたいなんで、
そんな感じでやっていこうと思ってるんです。
R : なるほど。
H : ところで、世捨人とか出家した人なのに、
人里が見えるところに住みたがって、
人里が移ると人里が見えるところに引っ越してしまう。
そんなのは本物じゃないって批判する古文だか漢文だか、ありませんでした?
小学生だか中学生の時に授業でやったと思うんですけど、
徒然草ではなかったんですよ。
とにかく、そういう偽物でいいや、と自分は思ってます。
R : そうなんですね。
確かにストイックすぎても徒然なるまま、とは行かないような気がしますね。
H : はい、程々がいいですよ。程々が。
R : 私も程々の範囲で徒然なるままに過ごせる時間を持ちたいと思います。
今日はありがとうございました。
H : ありがとうございました。
久しぶりに人に会ったら嬉しくて沢山話してしまいました。
偽物の世捨て人が出てくる古文が分かったらメール下さい。