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フィクション インタビュー  作者: RUM


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12/15

W(画家)

R : 本日のお客様は、画家のWさんです。

    国内外にファンがいらっしゃるということで、

    今日は作品をいくつかお持ちいただいております。

    お話伺っていきたいと思います。

    よろしくお願いします。


W : こんにちは。よろしくお願いします。

    普段あまり人と話さないものですから、緊張しております。

    よろしくお願いします。


R : そんな、緊張していただくような人間じゃありませんので、

    どうぞおくつろぎになって・・・・。

    Wさんは、普段は工場勤務だそうですね。

    前から画家になろうと思っていたわけではないんです?


W : 画家と名乗るにはまだまだです。

    ・・・子供の頃は漫画が大好きで漫画家に憧れた時期もありましたが・・・。


R : へぇ~~そうですか。

    じゃあ、絵をどこかでお習いになったということもない?


W : はい。

    あの・・・小さい頃から絵を描くのが好きで、

    小学生の時に母から色鉛筆と絵の具のセットを買ってもらって、

    それからは毎日絵を描いていました。


R : 小学生の頃から絵を描くのがお好きだったんですね。


W : そうですね。まぁ・・・時間がたくさんありましたから。

    ・・・毎日母が帰ってくるまで、留守番の間ずっと絵を描いてました。

    色鉛筆と絵の具のセットを買ってもらった時、

    すごく嬉しかったのを覚えています。


R : じゃ、それからずっとご自分だけで?


W : 中高校生の頃は、美術部でした。

    絵を描くのが好きな人達でそれぞれ好きな画家の真似などしておりました。

   

R : なるほどね。

    昔からこういった植物の絵を描く事が多かった?


W : 中高生の頃は、風景画が多かったと思います。


R : あら、なんででしょう。


W : うーん・・・あの、描いてて落ち着くというか。

    それで描いてたと思います。


R : じゃ、あまり人物はお描きにならない?


W : 人物画というのはあまり描かなかったですね。

    課題で出ればその時だけは描きましたが、そのくらいです。


R : それからずっと絵を描いていた?


W : いえ・・・。

    高校卒業後は、ただ家と職場を往復するだけで、

    絵は全く描いていませんでした。


R : ずっと絵を描いていなかったのに、また描き始めたきっかけって

    なんだったんでしょう?


W : 妻が庭に植えたミニトマトですね。


R : へぇ~、奥様が植えたミニトマト!

    実は奥様にも事前にお話し伺っておりますので、

    ちょっといいですか?

    あの、奥様とWさんは、中高の同級生で、同じクラスになったことも

    おありなんだそうです。

    ・・・

    えー・・ご主人との出会いは?

    「中学1年生の時に同じクラスになり、それが出会いです。」

    それから、どうなったんでしょうか?

    「文化祭の美術部の絵の中に、

     陸上部の練習風景が描かれているものが毎年あり、

     私に似た人物が度々描かれていると美術部の友人から聞いていました。」

    ・・・奥様は、中高陸上部で中距離をやってらしたそうです。

    高校卒業後は、奥様は専門学校に行かれて、

    Wさんは就職されたわけですから、会うこともなくなったんですね。

    大人になってからどういう風に再会されたんです?Wさん。


W : ・・・・。

    いやいや・・・びっくりですよ。

    事前にそんな・・・。

    妻からも何にも聞いてませんでしたし。


R : そうですよ、秘密にしてましたからね。

    再会は、奥様の働かれている美容室にWさんが行った時だったそうですね。


W : ・・・ご存じじゃないですか。


R : すみません、先に奥様に伺っておりました。

    そして、その奥様が植えたトマトがあまり実を付けなかった、と。


W : ・・・はい。


R : この絵を見ても、葉っぱばっかりで2粒しか実は無いですもんね。

    ミニトマトってこう、鈴なりみたいになるものかと思ってたんですけど。


W : そうですね、脇芽をとったり追肥をやったり、

    もっと日当たりの良いところに植えたりすれば、

    沢山実をつけると思います。


R : この絵のミニトマトは、そういった手入れはされていない?


W : 私も妻も手入れの方法を知らなかったので、水やりくらいです。


R : そうすると、こういう葉っぱばっかり茂って、実が少ないトマトになる。


W : はい。

    ・・・人間にとっては、実が多いトマトの方が都合がいいんですが、

    トマトにとってみれば違うかもしれない、とある時ふと思ったんです。

    実を沢山つけたい訳じゃない、

    葉を青々茂らすのがこのトマトの願いなのかもしれない。

    そんな風に思えるような、この、沢山の葉から発散される生命力を、

    どうしても絵に描きたくなったんです。


R : ・・・そうですか。

    確かに、葉の量といい、緑の濃さといい、

    茎から生えている根のようなものも、凄く迫力があって、

    生きている感じがものすごく伝わってきます。

    ・・・そして、こちらの絵は黄色の小さい花と白い蝶ですね。


W : はい。キャベツの花とモンシロチョウです。

    モンシロチョウはキャベツにとっては害になるのですが、

    花も蝶も生命力に溢れていましたので描きました。


R : 日差しの温かさが伝わってくる絵ですね。

    ・・・そしてまたこちらのアロエの絵はすごいですね!

    まぁ好き放題石垣から生えて!


W : これは祖母の家に生えているものです。

    小さい時、虫刺されにちぎったアロエを塗ってもらったりしていました。


R : 思い出のあるアロエなのですね。

    石垣の隙間に小さなトカゲが入り込むところも描かれていて、

    青いしっぽが鮮やかですね。

    ・・・中高生の頃の奥様の載った風景画が無いのが

    ちょっと残念なんですが、そろそろお時間ですね。

    今日はWさんにお話を伺いました。    

    素敵な絵もありがとうございました。

    奥様によろしくお伝えください。


W : ・・・はい。

    ありがとうございました。

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