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ギャル、再始動

――皆でプリ撮った帰り道、ゥチは死んだ。


 なんでとかはあんま覚えてない。

 多分刺された。

 信号待ちで仲間と自撮りしてたら急に超背中痛くなって、そのせいで顔作れなかった。絶対盛れてない。イヌスタに上げるやつだったのにさがる。

 仲間は多分皆怪我してないと思う。私だけ刺して逃げてったっぽいから。それだけはマジ良かった。


 とにかくゥチは死んだ。

 目の前とか真っ黒になって、これが無念ってやつかって思った。

 ゥチまだピカピカの高校一年生なんだけど。全然青春謳歌してねーんだけど。ママもパパも仲間もゥチが居なくなって絶対泣いてっし。犯人マジ許せねーよ。


 って思ってたら、ゥチは生き返ってた。やばくね。

 でもなんか体がバブになってた。ガチやばい。


 周りにいる大人は外人ばっかりだし、メイドっぽい人もいっぱい居て、そう言うコンセプトのメイドカフェかと思ったけど、高そうなドレス着てる人も居てどっかの王族かよって感じ。


 そんでここの人、ゥチ英語はアイラブユーしか話せないのに、めっちゃ外国語で話し掛けてくる。日本語話せないっぽい。

 しかもゥチのこと見て「ジョセフィーヌ」とか金持ちの犬みたいな名前で呼んでくんの超ウケる。

 ゥチの名前は樹愛羅きあらだよって教えてあげたいけど、今は外国語話せないから無理。いつか話せるようになったら教えてあげよって思ってる。


 そんな感じで、バブになっちゃったからメイドさんにめっちゃ介護してもらいながら、感謝の毎日過ごしてたら、やばいことに気付いた。

 メイドさん皆、手から水出したり火出したり、マジックしながら家事やってる。

 なんかこの家、サーカス団の一家みたいな感じっぽい。


 これ、ゥチもバブから成長したら絶対マジックやらされるじゃん。


 ゥチ、花火でポップコーン作ろうとして家燃やしかけたぐらい不器用な女なんだけど大丈夫そ? 絶対やばいよね? ママにもお前は一生火使うなって言われてるし。

 まぁ水出すマジックだけ教えてもらえばいっか。そんでママとかパパとか仲間に見せて超ビックリさせたろ。

 てか待って、マジックの英才教育されるとか、もしかしてゥチ、Mr.マ〇ックも超えれんじゃないの? やば、テレビ出れるじゃんあがる。


 テレビに出てイケメン俳優と会って仲間に自慢するの超楽しみにしてたら、いつの間にかゥチ、六歳になってた。


「――ジョセフィーヌ!! いい加減にその妙な話し方を止めろ!!」

「いやロンパパ、いつも言ってんじゃん。これはゥチの個性だし、家族に敬語使いたくないわけ。でも育ててもらってることには感謝してっから、外ではなるべく敬語使えるように努力するって。大体ゥチ、名前書いたら合格する高校通ってたんですけど。周りもギャルかヤンキーか勉強苦手な子ばっかだったし、いきなり敬語使えるわけねーじゃん」

「また訳の分からんことを……!! 口汚い悪魔憑きめ……!!」


 顔真っ赤にして怒ってんのは、ゥチの第二のパパ、ロンドルフパパ。ロンドルフパパって長いからゥチはロンパパとか、それもめんどい時はロンパって呼んでる。

 ロンパパはゥチがギャルなのが気に入らないっぽい。

 だからって娘に向かって「悪魔憑き」とか悪口言ってくんの普通にやばくね。


 ってかこの六年でゥチ、外国語話せるようになって、生活して、完全に理解した。


 ゥチ、ママもパパも仲間も居ない違う世界で生まれ変わったんだって。

 今のゥチはガチでジョセフィーヌで、ロンパパが父親。

 カースロット家って言う貴族の家の長女。

 マジックだと思ってたやつはガチの魔法で夢の国なやつだった。


 この世界にはママもパパも仲間も居なくて、マックもサロンもイヌスタもない、って初めて気付いた時は、ガチで萎えたし病んだ。

 ゥチどーやって呼吸すればいーわけ? 酸素吸えねーんだけど。


 そう思ってしばらく病んでたけど、いつまでもうじうじしてらんねーって立ち直った。

 今は新しいパパママもいるし、妹も生まれてメイドさんもいっぱいで大家族だし。新しい仲間増やすチャンスじゃん?

 つーかマックもサロンもイヌスタもないならゥチが作れば良くね。この世界の人ともシェアハピできるし最高じゃん。天才すぎて震える。


 だからゥチが別の世界で生まれ変わったってのは納得したんだけど、今一番さげなのは、ゥチの新しい家族にあったかみが少ないってこと。


 ゥチ家族に隠し事すんのとか嫌だから正直に言ったんだよね。

「別の世界で死んで生まれ変わったらこの世界にいてロンパパたちに会えた」って。


 そしたら信じてくんないどころかマジギレ。

 親のゥチらにタメ口使わないでほしーし意味分かんないんですけど、ってキレられた。部活の怖い先輩かよ。


 ゥチは家族に敬語とか使いたくないから何回も話し合ってんだけど、聞いてくんない。

「悪魔憑き」とか悪口言ってハブってくるし、妹子も仲良くしたいのにロンパパたちの真似して口聞いてくんないし、マジさげ。


「――私は、ジョセフィーヌ様のお話を信じています」

「そう言ってくれんのユミちゃむだけだよ。ロンパパたちにもユミちゃむのこと見習ってほし〜」


 ゥチの髪セットしながら天使みたいに笑ってくれてる女の子はユミちゃむ。ユーミエルって名前らしいけど長いからユミちゃむって呼んでる。

 ユミちゃむはゥチがバブの頃から一緒に育てられてたタメの女の子で、なんかゥチ専属のメイドさんらしい。つまりユミちゃむもゥチの家族ってこと。

 今んとこ家族であったかみがあんのはユミちゃむだけ。


 つーかユミちゃむガチ美少女すぎんだけど。

 黒髪のボブはツヤツヤだし、肌白すぎて透明感エグいし、青色のお目目キレイでデカイしまつげ長い。可愛すぎしんど。

 アイプチもカラコンもまつエクも無しでこれってヤバいっしょ。ガチの妖精じゃん。

 これで性格も良いとかしんどすぎ。推せる。ゥチがイヌスタ作ったら皆にユミちゃむのこと布教するつもり。

 唯一物申したいのは意地でもゥチにタメ口使ってくんないことくらいかな。真面目なのもユミちゃむの良いとこだけどね。


「つーかゥチら、いつになったらマジック……じゃなくて魔法、教えてもらえんだろーね? 妹子はもう勉強し始めてるらしーじゃん? ゥチらも早く勉強して魔法使って何かおもろいことしたくね?」

「そう……ですね。アリシアナ様は才媛であられますし、ジョセフィーヌ様も学びの機会があれば随一の魔法士になられると思いますが……」


 ユミちゃむは相変わらず六歳なのに難しい言葉使いながらなんか言いにくそうにしてた。

 けどゥチ分かっちゃった、ユミちゃむの言いたいこと。


「ロンパパが許してくんないってことだよね?」

「……旦那様は、ジョセフィーヌ様には別の勉学をお望みのようです」

「良いって良いって、気遣わなくても。ゥチ、ロンパパに嫌わてて何も期待されてないのは知ってっし。でもゥチ魔法勉強したいから、ロンパパに直接ぶち当たってみるわ」


 ゥチはまたロンパパとケンカすることにした。


「つーわけでロンパパ、ゥチ他の勉強も頑張るから魔法教えてほしーんですけど。ってか妹子は学校も行く予定って聞いたんだけど。ゥチも学校行って青春してーし、ユミちゃむと一緒に」

「悪魔憑きに魔法を教えるなど言語道断だ、お前には必要ない。あの忌み子の娘にもな」


 ロンパパはいつも通り、まずい野草食ったみたいな顔でゥチのこと見てた。


「は? 忌み子、って何? ユミちゃむのこと?」

「そうだ。あの娘は生まれつき魔力を持っていない。神に愛されなかった忌み子だ」

「え……マジ意味不なんだけど。神様に直接愛してんのか聞いたんかよ。ってか神様が愛してないって言ったとしても周りの人間がその分愛せばいーじゃん。ゥチはユミちゃむのこと愛してっし」

「ははっ、そうだな! あれは悪魔憑きに愛されるに相応しい娘だ」


 ――ゥチはキレた。


 ゥチの悪口言うのはまだいーよ。

 でもユミちゃむのことまで一緒にバカにすんのはちげ一だろって超ムカついた。ロンパパでもさすがに許せねーよ。


 ゥチの中からギャルのパワーが湧き上がってくる。今ならイケるって思った。

 メイドさんがやってたみたいに手をロンパパに向けて、パワーを集約する。そんで顔引き攣ってるロンパパに思っきし噴射した。


「アバ〇ケ〇ブラ――!!!」


 思わず頭に一番残ってた魔法の呪文唱えちゃったけど、実際出たのはすげー量の水だった。

 やり過ぎかもってレベルの量と勢いの水に押し流されて、壁に激突したロンパパはずぶ濡れでばたんきゅーしてた。


 初めて魔法使えたのは良かったけど、やらかしたって思ったし、ガチ反省した。

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