1話 異世界転移 エデン
【 我は道を示す神の眷属 】
――声が聞こえる。
【 他に与える知識もなく 】
――微かに涙くんだ枯れた声に震えて口調もおぼつかない。
【 他が求める力もない 】
――それでも、俺はこの声が・・・
【 故に、我は汝を導く道を与え光を指し示すモノである 】
――とても、綺麗だと思ったんだ。
「ゲホッ! ゴホッ! ハァッ! ハァ~びっくりした。 なによ突然! 急に爆発するなんて聞いてないんですけどッ!!」
目を開けて見えたのは、一面に舞いあがる白い埃だった。
一体何が起きて、どういう状況なのかもわからず立ち尽くしていると段々と視界がハッキリとしてきてすぐ目の前に女の子がいる事に気が付く。
「まぁいいわ! なんか途中で変な空間と繋がったみたいだけど結果オーライ! 転移召喚に成功したんだからこれで私もラグナログの参加が認められる!」
「・・あの~」
なにやら1人でびょんびょんと跳ねながら盛り上がっている所で悪いが、呼び止めると少女はピタリと動きを止めて俺を見上げる。
「あなた、名前は?」
「え? あの、土御門清二」
「そう! それじゃあ清二さん! これからお互いの目的の為に頑張りましょう!」
「・・目的?」
「そう! 目的!」
「目的・・とは?」
「・・・・ん? あれ? もしかして、情報の共有ができて・・ない?」
少女はプルプルと体を震わせると地面に出しっぱなしになっていた巻物の書物を拾い上げる。
「おかしいわ。 確か儀式への異世界転移召喚をされた際ににはラグナログのルールや目的がすべて自動的に認識されるはずなのにッ!」
「あの~?」
「ハッ! もしかして!! ちょっと貴方ッ!」
「あ、はい」
「もしかしてだけど貴方、死んでないの?!」
「えぇ、もちろん。 この通り」
「~~~~~ッ!!」
いきなり失礼な子だと思った。
俺はさっきまで友人達と昨夜放送された新アニメの感想会をしていたのだが、気が付けば巫女服を着た少女に死亡確認をされた挙句、死んでいないと伝えると頭を抱えながら「失敗した~ッ!」と残念がられる始末。
見た目は高校生である俺とあまり変わらない様に見えるが、あまりにも言いたい放題である。
「あの~いい加減俺の質問を聞いてほしんだけど」
「・・はい。 何でも聞いて下さい・・」
おや?
今度は急に慎ましくなった。
「とりあえず、キミは誰? そしてここが何処なのか教えてくれない?」
「はい。 私は神に仕える巫女であり天使と呼ばれる眷属、巫琴と言います。 そして、ここはありとあらゆる八百万の神々がおられる世界、エデンでございます」