表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/294

パートタイマー勇者 ③「求人募集に興味を持つ」

ひとりの男が職安の求人募集を見詰めていた。

男は、おっさんと呼ばれるのが相応しい年齢で有り、前の会社では、十数年勤めていたが[ 無能、穀潰し ]と陰口を言われ続け出世する事もなく、先日リストラされたばかり、ここ暫くは職安の紹介により何社か受けたが、悉く断られている。


今回も、ビクビクしながら例の募集カードを持ちながら、職員に尋ねた。「特別相談室 加美さんは、いらっしゃいますか。」

職員は、「担当の加美ですか、特別相談室に居りますので、右の通路突き当たりのドアにお入り下さい。」


おっさんは、言われた通りのドアを叩いた。「どうぞ。」の声を聞き、ドアを開け中に入ると 少しの立ち眩みを感じてたが、正面に座る若い女性を見て、踏ん張りを利かせ立て直した。

女性は、「ようこそ。特別相談室へ 私は担当の加美と申します。[ パートタイマー募集 ]に付いての相談で宜しいでしょうか。」

おっさんは、少し顔を赤らめながら「お願いします。」


「では、簡単にお仕事の説明を致します。宜しいでしょうか。まずは、席にお座り下さい。」

おっさんは、担当前の席に座りペン片手に聞く姿勢になる。


「説明の前に三項目の質問が有ります。正直に答えて下さい。

第一問ですが、

今、貴方の前に財布が落ちてます。どの様な対応をしますか?

①警察に届ける。

②猫ババする。

③その他。」

おかしな質問である。おっさんは暫く考えて、③と答えた。

理由を尋ねられて、「今の生活状況から考えると、1000円位なら猫ババするかも知れない。それ以上なら、恐くて警察に届けます。」


「ありがとうございます。では、第二問 です。貴方の目の前に足にケガした美女がいます。しかし、反対側に川に溺れている老人がいます。貴方の取る行動は、正直に答えて下さい。

①美女を先に助ける。

②老人を先に助ける。

③誰も助けないか、別の事を行う」

おっさんは、迷う事なく②と答えた。


「ありがとうございます。最後の問題です。

貴方の家族構成を教えて下さい。」


「田舎に老いた両親と妹家族が居ります。」


「ありがとうございました。以上で質問は終わります。

そして、紹介が遅れて申し訳御座いません。私 加美は、今回のパートタイマー募集に着きまして面接官を委託されており、今回のやり取りで面接終了となります。結果は、合格と致します。」


「本当ですか!ありがとうございます。何時から勤務すれば宜しいのでしょうか?」


「明日の午前11時に、この部屋来て頂けますか、その際に詳細を説明致します。」


「宜しいお願いします。」

おっさんは、職安を後にした。

足元は、少しだけ軽やかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ