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花々の咲く地
辺境の一角に花が咲き誇る地がある。
四季折々の花々が咲き誇り、動物はもちろん、小さき魔物達も静かに暮らす地でもある。
花々の中央には、小さき石が置かれ、傍らには白き狼の魔物が守るかの様に伏している。
季節の替り目には青き尾の長い鳥が、嘴に種を咥えては蒔いている。
青き鳥は、石の傍らに止まり、白き狼を見つめる。
白き狼は、青き鳥の意を汲むかな様に見つめ返し、徐に森に向かって走り出す。
白き狼と交代したかの如く、青き鳥は、石の傍らにとどまり続けている。
暫くの時が経ち、白き狼が再び、石の傍らに伏せる。
長い年月を、白き狼と青き鳥は、石から離れること無く、過ごしていた。
花々の間を、爽やかな風が通り抜けて行った。
今なおも、花に囲まれた石の傍らに、白き狼と青き鳥は、佇んでいる事だろう。
大切な何かを守るかの様に・・・。




