新魔王の悩み
新魔王は、思い悩んでいた。
彼は、目立つことを好み、【史上初】の言葉を好み、自分の行動を見詰め直しては、何時も何かを考えている毎日を送っている。
これまでの彼の行動は、
【史上初 世界を完全に征服】した事を誇りに思うのだが、かっての魔王が、色々な事を行っている為、それ以外を思い浮かべられないことを悩んでいた。
【勇者殺害】【勇者処刑】【勇者を隷属化】【勇者を配下に】【勇者釈放】・・・。
【王都虐殺】【王都灰塵】【王の処刑】・・・。
と歴代魔王の業績を鑑みて見ると、最早 彼の好む【史上初】に値する行動は考え付かなかった。
悩んだ・・・悩んだ末に彼は閃いた。
「う~ん!これなら歴代魔王が、絶対に考え付きもしない。正しく俺だけの業績だ!フッファファファ。」
それからの彼は、仕事を投げ捨てて準備に没頭した。
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そして、決行の日が来て国民に宣言する。
「皆の者よ。余はここに魔王を退位することを宣言する。後継者として、新魔王に魔国を譲り、余は国を去る事とする。・・サラバじゃ!」
彼は、【史上初の魔王退位】を発表して、国を去った。
やがて、長き年月が去り、王国復興を鑑みる人族の地で勇者召喚が行われた。
多くの魔力が、魔方陣注がれて、光と共にある人物が召喚された。
ここに、【史上初の魔王から転向した勇者】が誕生した。
これから、彼の好きな【史上初】が、好きなだけの作れるワクワク感で、期待一杯の溢れる笑顔をこぼしながら。




