あの頃に戻して下さい
明日は、投稿を休みます。
10年前に俺は巻き込まれて召喚された。
本命は、3名の大学生らしい。
彼らは、鑑定で【勇者】【賢者】【大魔道師】の称号とそれに見合う能力値・スキルを与えられて、王国に歓迎された。
たまたま巻き込まれた俺は、【剣士】の職業と見合うスキルの為、王より即時追放が宣告され、僅かな金貨で放逐された。
俺は定番通りに、ギルドに加入する事で身分証明書を手に入れ、即日に逃げる様に国を出た。
その後は、地道に経験値を上げ、仲間に恵まれて、幸運にも恵まれた事で、僅かの期間でSランクへ昇格した。
風の噂で、魔王軍に攻め込まれ、王国の防戦中に【勇者】は、再起不能
【賢者】は、戦死
【大魔道師】は、精神錯乱
との聞いたが、さほどの感傷も湧かなかった。
だが、そのとばっちりが俺らに廻され、魔王軍との戦闘に刈り出される羽目となった事は悔しい。
俺らは、複数のパーティーと手を組み、徐々に魔王軍を撃破して、魔王城での戦いとなる。
俺らは、劣勢の魔王軍を圧倒していたが、幼い魔王に剣先が鈍った事を契機に、仲間との連携が崩れ、俺は剣を貫かれて倒れた。
気が付くと、真っ白な空間で見惚れる程の美女が、俺に声を掛けた。
「私は、この世界の女神となります。
勇者召喚で貴方を巻き添えにした事。そして召喚した後、ご苦労を掛けた事は謝ります。
貴方が倒れた後は、王国軍は総崩れとなり、国が滅びる段階となっております。どうか、再度の力を貸して頂け無いでしょうか?
時間を1度だけ戻す事が可能です。
その力で、王国を救って頂けないかしら。」
俺は、何を今さらと憤慨が込み上げるのを隠した。
女神は、「10年前の召喚直後では?それとも、勇者達が倒れる前に?それよりも魔王に情けを掛ける前に?・・戻しますか?」
俺は考えて、静かに答えた。
「10年前の召喚魔方陣が輝いた時に、倒れ掛けた大学生を助ける前に戻して下さい。」と・・・
悲しい顔で女神は・・・。




