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魔王と言う名の刑罰
【永遠】と言う言葉に、憧れを持つ人もいれば、絶望を感じる人もいる。
まして、刑罰となると絶望しか見れないだろう。
ある男が、神前裁判で判決を下された。
その男は、何故か召喚され易いらしく、幾度か世代を超えて、召喚されて来た経緯が有る。
何度かは、勇者として魔王を倒して平和をもたらしたとの経歴を持つが、それ以上に多いのが、【裏切り】を繰り返して、勇者を仲間を背後から切り倒して来た。最も、己の最期も裏切られて殺されてはいるが、それよりも立て続けの【裏切り】の行為が、神々の怒りに触れて、今回の裁判となっている。
神々としても度々に同じ魂の人物を召喚させたとの後ろめたさも有る事から、【永遠の魂消去】から減刑して、【永遠の召喚】となり、直ちに執行された。
【永遠の召喚】
魔王として召喚され、ただ、勇者に倒される刑罰である。
勇者に勝つ事は認められずに、ただ、負ける事が決まった戦いが、永遠に繰り返される。
男の苦しみは始まったばかりで有る。