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勇者の怒り

男が召喚された。

大理石に刻まれた魔方陣に佇み、睨み返している。

直ぐに宰相が、男の元に駆け寄り、王国の苦境を訴えかけて説得しているが、男の怒りは収まらぬ模様だ。

屈強の騎士達が、王の周りに囲み始めた。

不穏の雰囲気が広間に立ち広がっていく。


男の怒りは頂点に達した模様で、巨大な魔力が王宮を包み込む。

恐れおののくメイド達。

騎士達が臨戦態勢に入るが、心中は恐怖に包まれている事だろう。

魔力が更に強まる。まるで魔王を彷彿させると呟きが漏れる。


「なんて魔力だ。女神様は相当に気に入ったと思われる。・・・しかし、怖い!」と王が震える。


宰相が、伏し目がちに戻って来た。

「ど、ど どうだった。彼は納得してくれたのか?」

「申し訳御座いません。王様、彼への説得は叶いませんでした。彼は、相当怒っている様です。【責任者を呼べ】と申しております。」

「えー。ワシが行くのか?・・・イヤだ!怖い!」

「でも、王様が行かねば、怒りは収まらないでしょう。・・お願いいたします。」

「イ・・・イヤだ。・・・ワシは退位するぞ。皇太子よ、お前が王だ。頼んだぞ。」

「そ、そんな・・自分も怖い。誰か・・彼をなだめてくれよ!」

「・・・。」


1人の王女が駆け寄り、

「私が、説得してみます。ただ、最悪の事は覚悟をお願い致します。」

王の承諾を待たずに、王女は男に向かっていく。

遠目で見ても、王女の肩は震えているのがわかる。

王女は、男の前に行くと突然に土下座をして

「突然に、此方の都合のみで召喚してしまい、申し訳御座いません。貴方様のお怒りもごもっともで御座います。

ただ!ただ、あなた様のお力で魔王軍の猛攻で苦境の王国をお護り頂けませんでしょうか。

お怒りを静めて頂け無いでしょうか?」

王女の心からの謝罪を、男は認め、ニッコリと微笑みながら握手を交わした。

そして、宣言した。

「人の都合も考えずに、勝手に呼び出して【国が危ないから助けろ】とほざきやがる。ましてや謝罪の一言すら無い。

お前らに貸す力は無いし、尽くす義理も無い。

この王国とやらが、滅び様と俺には関係の無い事だし、反対に魔王と手を結んで滅ぼしても構わないと思っていたが、ただ1人謝罪した彼女に免じて矛を納める。

今後は、彼女を代表と見て、それ以外は認めない。」

こうして、王国は王女を王とせざるを得なかった。


男は勇者として彼女と共に、魔王との新たな戦いの物語を始まった。




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