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静かに世界は生きている  作者: 南悠


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神からの贈り物

王国は魔王軍の猛攻を受けて、存亡の危機を向かえていた。


王室は宰相の進言により、異世界より勇者を召喚して危機を回避しょうと神に祈りを上げる。

神からは、召喚に必要な5枚のコインと召喚箱なる魔道具が下げ渡された。


召喚箱は、中に組み込まれた魔石に魔力を注ぎ込みながら【召喚魔法】を唱える事で発動する魔道具となっており、脇にコインを投下する口と上部に3枚のパネルらしき物を備えている。


王室は、前王である大公が、コインを投入しながら【召喚魔法】を唱えると大理石に刻まれた魔方陣が光を放ち、徐々に収まる光の中心に1人の男が鎮座していた。

召喚された男は、たぐい稀な身体能力と多才な魔法そしてスキルを持つ【勇者】であった。


王室は彼の能力に驚きながら、王国の窮状を訴え、魔王軍撃破を願い、快諾された喜びの中で、誰1人として召喚箱の3枚のパネルが数字を吐き出した事を知ることは無かった。


勇者は魔王軍に善戦して、大軍を破る功績を得たが、深追いし過ぎて、伏兵に気付かず戦死をしてしまった。・・・1回目の召喚は失敗で終わった。


その後は、2回~4回と召喚を重ねたが、悉く勇者は倒れてしまった。

その頃になると、王室は、立て続けての召喚の結果に、ただ1人を除いて意気消沈し、将兵共に自暴自棄となっていた。

ただ1人期待に胸を膨らませている王は、「次は僕の引く番だよ!」と鼻歌混じりで召喚箱に近付いてくる。

なぜなら、前王から始まった召喚は、良い結果を出す為にと【幸運度】の高い順番に、【前王】【宰相】【王妃】【第5王子】と引いて来た、そして前述の通りの結果を生んで来たのである。

王の【幸運度】は相当に低い為、引く順番から早々と外されており、遠くから指を咥えながら、羨ましい沿うに眺めていた。だがやってみたいとチャンスを虎視眈々と狙っていた。数々の召喚勇者の失敗と危機的な王国の現状に頭を抱え、立ち竦むだけの将兵に脇目も振らずに召喚箱の前に立つ。

召喚箱護衛の騎士が気付いた時には、王は最後のコインを召喚箱に投下しながら、召喚魔法を唱えていた。

人々は、「あぁ、最後のコインが、・・・これで王国は終わった」と嘆き悲しむ声で大広間は満ちている。


魔方陣が、目映い光を放つと同時に静けさが見守る中で、やがて光りは1人の痩せ細った男を産み出した。


最後の希望の召喚勇者を見た人々は、その姿に落胆して、ため息と嘆きの啜り泣く声が城中に広まる。

一部の男たちが王国の幕引きをした王に駆け寄り、非難をぶつけた頃、コロコロと回る召喚箱のパネルが【777】を弾き出したと同時に、何処ともなく【大当たり】【フィーバー】との声が皆の頭の中に流れると魔方陣が七色の光を放ち、その光の中から、1人また1人と多くの男女を産み出してくる。


召喚者の流れは止まらず、百人いや千人?

いいえ、一万人を排出して止まった。


一万人の【勇者】【聖女】【賢者】【剣聖】その他諸々の召喚勇者たちを見つめる人々は、ただ唖然として思考を停止させていたが、1人の喜びの声が王国中に伝え広がるに時間を必要としなかった。


1万の勇者たちは、各地で魔王軍を破り、魔王を倒したと記録されているが、その後の消息は、何処にも記されていない。





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