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悩みごと
魔王は悩んでいた。
むずかしい顔を更に難しくして、悩みなやんでいた。
今日も玉座に座り、悩み続けている。
昨日も悩んでいた。
多分、明日も悩んでいることだろう。
だが、誰もが魔王の悩みを知らない。
宰相のサターンも。
公爵のドラゴンも。
側近のドラキュラも。
・・・馬丁のゴブリンも。
掃除係のスライムさえも。
誰一人として魔王の悩む内容は愚か、原因さえも知らなかった。
だから、皆の中で臆測が飛び交う。
【勇者の事】【政治の事】・・・【晩御飯の事?】
知らないからこそ、皆は好き勝手に推測している。
そして、今日も平和の時間が過ぎている。




