突然の贈り物
今朝、宅配便が男の所に届いた。
かなり、大きな箱で結構な重量がある。
だが、この俺に誰が送ると言うのだ。
先日、会社をクビになった。
「無能は要らない」の一言で終わった。
とて、両親もなく、親戚とも疎遠な俺に一体誰が送ると言うのだ。
送り先を見ても、知らない名前だ。
しかし、宛名を見ると確かに此処だし、俺の名前が記されている。
間違いでは無いらしい。
俺宛だと納得させて、包み紙をビリビリと破り、箱の蓋を開けた。
中には入っていたのは、何かの衣装らしい。
食べ物だったら・・・と一瞬思った自分が少し恥ずかしかった。
丈夫だが、時代に合わない上下の服装?
更に下には、短剣?何でこんなものが入っている。
警戒度が急上昇する。だが、興味も高まる。
更に下には、革袋に入った見たことの無い硬貨が詰まっている。
そして、手紙が入っていた。
早速に手紙を開き、読み始めた。
【突然にこの様な物を送り、申し訳ない。
この手紙を手にしたなら、中の品々を見て、警戒をしていると思う。非常識だと思うが、これから話す事を信じてくれ。
君は、神々から選ばれた勇者として働いて欲しい。信じられないとバカにしないでくれ。直ぐに迎えの天使が行く筈だ。決して逃げられない運命だと諦めた方が楽な筈だ。
俺もそうだった。ただ、疲れた。
先代の勇者として助言する。
死ぬな。どの様な方法でも生き延びろ。】
間もなくして、トイレの扉が光だした。
何処からともなく、天使が現れて、男を運び出した。光る扉の向こうに・・・。
嫌おうも無く。
部屋は静まり帰り、男のいた痕跡は無くなっていた。




