249/292

契約

異世界に一人の男が召喚された。

彼は神から愛されず、少し高目の能力値と僅かなスキルしか与えて貰えなかった。

召喚先の王国は、彼のステータスの低さから、彼を見下して馬鹿にし、僅かな金だけを渡して放逐した。

彼は挫けなかった。冒険者として魔物を倒し、地道かつ着実にレベルを上げて行き、その努力に見合った能力値と数々のスキルを手に入れて、勇者へ成長した。

彼の真面目で堅実な性格が幸を成し、多くの強者が彼を慕い、協力を願い出た。

彼は良き仲間を得て、魔王退治の旅に出る。

神や王家は、勇者となった彼を見て協力を申し出たが、彼は丁重に断り、彼は自身のけじめとして信じ合える仲間と伴に、戦いを進め、激闘の末に魔王を倒した。

民衆は偉業を讃えて、大歓声を持って勇者と仲間たちを迎えた。

民衆の絶大な人気に恐れを感じた王家は、神と共に彼を帰還させる事に成功して、王国は静けさを取り戻した。

日本に帰った彼は、今まで通りの生活に戻り平凡な暮らしを送っている。

ある日の夢の中で、威厳の有る白ひげのじい様から、ある提案を受けた。

「あの異世界での酷い対応について、済まなかった。かの神は降格の上で重い罰を与えておいた。また、あの王家も、悲惨な最期はを迎えた。

そこで、頼みが有るのだが、数多くの異世界が魔物・魔王・内乱等で危機に瀕しており、力ある真面目な勇者を欲しておる。

しかし、力有るものは、己の力に溺れて堕落してしまう。また、真面目に頑張る者は、マジメ過ぎて働き過ぎ、過労で倒れる者が多々おる。

だが、かの世界の実情は、は彼らの成長を待ってくれない。

そこで、君を契約勇者として、派遣したい。協力を願えないだろうか。」

しばし、考えた男は、快諾した。

これから、彼の派遣勇者としての活躍が始まる。