異世界召喚された男 4【ゴブリン】
目映い光に包まれた男は、異世界召喚に、喜びを隠せなかった。
質素な女神様に見送ってくれた。
召喚先には、待っていたのは、同時に召喚された勇者たち、比べて俺は追放にされる。
「女神様。俺、何かした?」
一瞬にして、俺は、城から追放にされた。
視界が歪み、気が遠くなっていく。
「・・ごめんね。少しだけ、守っててあげるか・・・。」
遠くで女神様の声が聞こえる・・・。
「はぁ!ここはどこだ?・・・・思い出した。俺は役立たずって事で、城から追放にされたんだ。
チクショウ。勝手に呼び出しておいて、能無しは追放かよ。何て勝手な奴らをなんだ。・・・だけど、女神様の声が聞こえた。守ってくれてありがとう。だけど、出来れば日本に帰すとか、武器をくれるとかしてくれれば、有難かったけどな。」
と俺は、感謝と共に大いに愚痴を溢している。
気が付くと、俺の周りは鬱蒼とした森の中、葉のしげりが影となり、日の光を遮り、周辺を薄暗く染めていた。
突然、下葉の茂みがガサガサと揺れる。
俺は警戒心を高めて、揺れる茂みを見つめる。
茂みから、ゆっくりと緑色を肌とした小男が歩み寄る。グワァ。口元の鋭い牙が光り、口端から涎が垂れ落ちる。
「これがゴブリンか。俺を旨そうに狙って居やがる。」
ゴブリンを見ながら俺は、
「こんな処に飛ばした奴らは、本当に俺を殺そうとしたんだな。」と落ち着いた表情で考えていた。
ジリジリと迫り来るゴブリン。
「さて、どうしょうかな。剣は無いし、魔法ってどうすれば使えるんだ?」
と考えながらいると、グワァと飛び掛かるゴブリン。
咄嗟の事でも、俺の身体は反応して身をかわしている。
「いやあ。危ないあぶない。違う事を考えている暇は無い。まずは、アイツに集中しなければ」
俺は身構えて、ゴブリンと対峙し直した。
俺の変化に気付いたゴブリンは、身構えて俺の隙を狙い始めた。
「奴が警戒し動きが止まった。今こそ、まずは奴を【鑑定】すべきだ」
スキル【鑑定】を発動する。
ゴブリン
レベル 3
HP 16
MP 0
力 10 知力 5 速力 8 魅力 2 運 3
スキル
雑食 悪食 耐菌 E 耐毒 E
「へぇー。俺よりレベル高いけど、こんな能力なんだ。これなら勝てそうかな。・・・油断禁物」
改めて、対峙の姿勢を取る俺に、女神様の声が聞こえる。
「魔法はネ。相手に手を向けながら、火を思い浮かべて【ファイア】と唱えるの。」
そうか、イメージが大事なのか。
俺は、ゴブリンに手を向け、火の玉をイメージして【ファイア】と唱えた。
手のひらから、バレーボール大の火の玉がゴブリン目掛けて飛んで行く。
そして、ゴブリンは火に包まれながら悶え、やがて燃え尽きた。
そして、俺の意識に【レベルアップ】したことが認識された。
名前 カノウ ゲン
年齢 28
種族 人族
職業 兵士
レベル 2
HP 110
MP 220
力 110 知力 205 速力 45 魅力 31
運 20
固有スキル
魔石吸収
※魔物の能力 1%を吸収して能力値に補填、また、スキルを希に吸収。
スキル
剣術D 火魔法D 水魔法C 鑑定D アイテムボックスD 異世界言語 悪食 耐菌 耐毒
スキルが3つも追加された。だが何故か悲しいのだろうか。
燃え尽きたゴブリンの跡に、小指大の光る石を広いポケットに入れる。
まずは、第一歩を踏み出せた。
「女神様!ありがとう。愚痴ってばかりでゴメンね。」と感謝の言葉が自然と出ていた。