華麗なる一族
我が王国は小国なれでれど、古き時代に勇者と共に魔王を倒し、帝国から報奨として領土を賜り、後に王国として発展した由緒ある家系である。
聖女を始め、賢者・大魔法師・剣聖と数々を産み出し、人々は【華麗なる一族】と、讃えている。
夏の暑い、ある日の出来事だった。
旧都にある古書店で、古き本が見つかるとの知らせが届いた。
古書は開ける事が出来ず、鑑定では【料理人の日記】と判定。著者は王国の初代様との事から、わが王家に献上されて来た。
初代さまの日記には、王家に伝わる呪文が施されており、王は解呪を行い、読み始めた。
正しく勇者と共にした初代さまの日記であり、勇者を始め、当時の聖女・剣聖・賢者と仲間の事が、面白く書かれており、王は時折笑い声を発したり涙ぐむ事も見受けられた。
読み進める内に、王の顔付きが変わり、終いには大切?な古書を魔法で焼き払ってしまった。
一体なにが王を激怒させたのか、一言も語らなかった。
古書にはこう記されていた。
初代は、勇者の料理人であり、異世界から召喚された勇者と仲間たちの要望を聞き、似た様な料理を作る事から、重宝されていた。
特に【カレー】について、沢山のスパイスを使い、完璧に再現した事から、勇者の仲間内では【カレーなる人】と呼ばれていた。
初代は武力・魔法に縁が無く、ただ逃げまどう姿が、王にとって許しがたいモノだった様である。
王にとっては、初代から【華麗なる人】で居て欲しかった。