245/294
孤独な剣聖
平和の時代に剣聖の日常は孤独だ。
勇者と共に魔王軍を打ち破り、魔王の最期を見届けた。
歓喜の中の凱旋パレードは、とても恥ずかしかった。
そして、国王による授爵式で、俺は侯爵位を得た。
騎士爵だった俺は、剣の才能だけを頼りに戦かい、剣を極めてきた。
故あって、勇者の仲間に加わり、魔王軍との戦いで名を馳せた。
剣で戦う事しか知らず、ただ貪欲に剣を振るい魔物を倒してきた。
人は、俺を寡黙な剣士と評して、噂していたらしいが、ただ、人と交わる事が苦手なだけなのだが。
時より、剣を教えてくれと人が来る。だが、俺の教え方が抽象的で、判らないと離れて行く。
侯爵とは言え、内政や軍事の事は判らないから親族や家臣に丸投げだ。回っているから問題なしなんだろう。
魔物退治は得意なものだ。
特に害虫、それも空を飛ぶ奴らを切り捨てるのは、とても楽しい。
そして、俺は孤独なんだと感じる。