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それは間違っていますと女神様は呟いた。
少年は過去の記憶を持ちながら異世界に転生した。
転生先は、上級貴族の次男。ましてや貴族家に相応しいスキルを与えられないハズレスキルの子。
正しく、定番の流れその物である。
次に考えられるのは、上級貴族である父と意地悪な兄の虐め、そして使用人達からの迫害と来れば、定石通りの展開である。
続いて待ち受けるは、貴族家からの追放と来たら、締めたもの最後に女神様からの謝罪とハズレスキルの進化系でチートとなれば、これこそラノベ小説その物で、そこからの這い上がりこそ、【ざまぁ】の醍醐味と微笑んだ・・・・時も有りました。
何処で間違えたのか?
何処かで狂ったのか?
虐めもなければ、迫害や追放も無い。
ハズレスキルながら、まともな教育を受け、上級貴族の子息として生きて、平凡な人生が待っている事だろう。
とても幸せな事なんだが、失望と虚しさが満ちている。
こんな自分は間違っているのだろうか?