嘘から生まれた誠
長い王国の歴史の中に、忘れ去った幾つかの大事な事が有った。
古の神との約束もその一つで有ったが、思い出す者も遥か昔に去って行った。
「早く召喚しろ!」若き王は術者達を急かし付ける。
「諸国には、魔王復活の兆しが有り、魔王軍の侵略に対抗する為と答えるんだ。」言葉早く大臣に命じていく。
異世界からの召喚者は、神より高いステータスと強力なスキルそして加護を与えられる。それ故無闇な召喚は禁じられ、唯一は魔王に対抗する時のみ許されてきた。
偉大だった亡き父王の跡を継いだ若き王は、諸国に侮られ無い様に。また、諸国に覇を唱える強力な兵器としての召喚者を欲していた。
そして幾人かの召喚者が、召喚と共に自由と意志を奪われ、王国の兵器と化していた。
その同時期に女神より、古の約束が果たされている。
「若き王よ。貴方は私達との約束を破りました。それ故、私は罰を与えなければならないのです。」
神との約束とは、
[ 魔王の力の前に勇者が立ちはだかる。]
つまり魔王がいて、初めて勇者の召喚が許される。魔王を倒した直後以外の勇者単独はあり得ない。もし、単独の勇者が存在するとしれば、必然的に魔王が生まれて、呼び出される。そして勇者を召喚した国がその矛先となる!
若き王の嘘が、国を滅ぼす引き金となる事だろうか。