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勇者帰還①
若者達が、10年ぶりに帰ってきた。
5人の若者が、突然失踪した。親たちは行方不明として探し続けたが、手掛かりも掴めず10年の年月が流れ、人々の記憶からも自然と消えて行く中での出来事だった。
帰って来たのは、5人の内の3人、[ 異世界へ召喚され、この度帰還出来た ] と語っている。
世間は騒然とし、マスコミは大々的に取り上げて、連日彼らの話題にならない事が無く、多忙な日々が続いた。
ある日、彼等の元に3人の男が訪ねて来た。
一人目の男は、開口一番に語った。
「貴方の持ち込んだ、金貨・金塊・宝石は密輸の疑いが掛かっております。政府が没収致します。」
二人目の男が続いて話した。
「貴方の持ち込んだ、薬品と称した [ ポーション ] [ 万能薬 ] 等は、薬事法に引っ掛かりますので、全て回収致します。」
続いて三人目の男が語った。
「貴方の持ち込んだ、薬草類及び、魔物の肉等は、検疫に引っ掛かります。速やかに提出を願います。」
唖然とする若者。
持ち込んだ全てを提出して、失った。