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第4章 第4話 素材の搬送

 翌日、魔馬車の護送団を率いて出発した。皇都経由で≪神樹の森≫を横断し、東の辺境伯領に入る行程である。魔馬車で急いでも片道12日を要する。

 

 大切な商品を守るため護送団を作りユイエとアーデルフィア自身が同行しているのだが、物々しい武装した集団に絡んで来るならず者や魔物も現れず、順調に行程を消化していった。


 ≪神樹の森≫を抜けて東の辺境伯領に辿り着き、街道沿いに進んで行くと、領都【ホエイソイン】に到着した。


 入市する前に先触れを出しておき、ユイエ・フォン・ドラグハートの紋章とドラグハート家の家紋を掲揚して入市し、城を目指す。


 エドワード宰相からの連絡だと、ここでプロテイオス辺境伯と会い納品する事になっている。城壁内に大規模な鍛冶工房の施設があってそこでマインモールド領からの鉱山族ドワーフ達が合流する予定と聞いている。


 プロテイオス辺境伯家の城は、要塞といった趣きが強い堅牢そうな建築物だった。案内の騎士に従い魔馬車を止める一画に通され、そこで護送団を待たせておく。


 護送団に待機の指示を出して城内に面会に向かおうとしていると、城から貴族らしき人物とその護衛といった様子の騎士達を連れてユイエ達の方へと向かって来た。


「私がザヴァス・フォン・プロテイオス辺境伯である!ドラグハート魔境伯はおられるか!」


 取り巻きを連れた大柄で筋骨隆々な貴族が大声を張り上げて前に出てきた。


「はい。私がユイエ・フォン・ドラグハート魔境伯でございます。ザヴァス・フォン・プロテイオス辺境伯閣下」


 ユイエが前に出ながら返礼し、その隣にアーデルフィアが並び合わせて挨拶をする。


「妻のアーデルフィア・ドラグハートです。プロテイオス辺境伯閣下」

 

 成人したばかりの若い夫婦の名乗りを聞いて、ザヴァスが大きく頷き、その大きな手で握手を求めてきた。


「良く来てくれた!噂の英雄殿が来るとあって、城内も盛り上がっている。落ち着く暇が無くなろうと思い、先に挨拶に来た!」

「ご配慮いただきありがとうございます。辺境伯閣下。持ち込みました素材は捌いておりませんので、まずは解体からとなります。解体施設などございましたらご案内下さいますか?」


 ユイエの丁寧な物言いにザヴァスは頷いて工房前の解体施設にユイエ達を案内した。


「解体は我が領の者が対応する予定である。マインモールド領からの応援が来るまでに少しでも素材化を進めておきたい」


「では、早速搬入とさせて頂きます」


 ユイエは護衛についているサイラスに頼み、護送団に素材の搬入指示を出した。


 赤種や緑種、黄種と各色のドラゴンが解体場に出されて行き、はじめは興味深そうに眺めていたザヴァスが、ユイエに振り向いて聞いた。


「随分状態の良い死骸ばかりだな?首か頭に強烈な斬撃を喰らって即死しているように見受けられる」

「はい。素材の質を優先して一刀で斬り伏せるようにと気を遣いました」

「これらは全てドラグハート魔境伯が自ら?」

「私か妻のどちらかですね」

「夫人もかね?」

「はい。例えばあそこの赤種のドラゴン。頭部に刺し傷があるだけですが、あれは妻が刺し殺したものですね」

 ユイエの解説にアーデルフィアが微笑を浮かべて頷いていた。

「そ、そうか……。奥方も相当な使い手なのだな」


 しばらくすると解体場に置き切れなくなり、ザヴァスに頼んでプロテイオス辺境伯家の所有する魔法の鞄(マジック・バッグ)に出したドラゴン達を収納して解体場を空けてもらい、再び護送団の魔法の鞄(マジック・バッグ)から死骸が出され並べられていく。

 解体所から魔法の鞄(マジック・バッグ)で工房に併設された【空間拡張】された倉庫に納められていく。

 その作業が繰り返し行われ、持って来た全量の引き渡しが終わった。


「こちらが持ち込んだドラゴンの内訳となる目録です」

「多いな。全軍に竜素材の装備を行き渡らせる事が出来そうな程だ」

「えぇ。リカインド宰相閣下もウェッジウルヴズ大公閣下も皆がプロテイオス辺境伯の戦線を気にされておりました。これらの素材をどうぞご活用ください。それと、ここまでの搬送で日数を要しております。肉は食用に回せると思いますが、内臓は早めに焼却処分した方が良いかと思います」


「あぁ、分かった。まずは内臓を抜いてから保管するように留意しよう。しかし、兵士や民にもドラゴン肉の炊き出しが出来そうな量であった。士気高揚のためにもやってみようかと思う」


「それと、前線では帝国の翼竜ワイバーン兵に煮え湯を呑まされていると伺っているのですが、やはり軍の配置やどのような兵器を用意したか、空から偵察されてしまうのが苦しいのでしょうか?」

「そうであるな。油壺を落として火を射かける戦術も厄介ではあるが、一番は偵察能力よな」

「どれほどの数がいるのですか?」

「総数は正確には分からぬが、100頭以上いて200頭はいないくらいの範囲だと思っている」

「そうですか……。マインモールド領からの応援の鉱山族ドワーフ達は到着までまだ数日かかりそうな予定でしょうか?」

「ドノヴァン大公はこういう時の動きは迅速に対応してくれる方だ。そう待たずに合流できるだろう」


 ユイエはザヴァスの回答を聞いて思案した。

「一方的に布陣や戦術を分析されてしまう状態も何とかしないと厳しいですね」

「あぁ、そうだな……。低空にくれば弓や石弓、バリスタなどで何とかなるかもしれんが、高空から偵察されるのは対処のしようがなく歯痒い思いをしている」


「プロテイオス辺境伯閣下。竜素材の引き渡しは完了いたしましたので、一度領地に帰還したいと思います。何かしら援軍を出せないか検討してまいります」


「おお、そうか?ドラグハート魔境伯は真面目であるな」

「成功するか分かりませんので、内容については伏せさせて下さい」

「あい分かった」



 ユイエ達の護送団は素材の納入という任務を終え、行きと同じ12日かけて領都に帰還した。


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