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第4章 第2話 初騎乗

 その晩は第5ベースキャンプ場に設置してある建物と馬車で野営をして過ごした。


 翌朝。馬車で寝かせてもらったユイエとアーデルフィアは不寝番の当番だったジョセフに朝の挨拶をして、簡単な朝食をとった。その後、続々と起床して来た面々も食事を済ませていく。


「サイラスとメイヴィルはもう乗せてもらえるけど、他の28人はまず青種と仲良くなるところからだね」

「仲良く……。どうすれば仲良くなれますかね?」

 困った顔で訊いてくるマーカスに、ユイエとアーデルフィアが答える。

「んー、とりあえず一緒に狩りしたり食事したりしてれば自然と仲良くなれるのでは?」

「お近付きの印に肉を狩って来て、焼いて食べさせてあげると効果大だよ」

「了解です。まずは皆で巨獣狩りでもして、肉を用意するところからやってみます」



 マーカス達が第4番ベースキャンプ場方面に入って行くのを見守り、残った4人で自分達のプラーナ魔力マナの習熟訓練を行って待っていると、巨猪を狩ってマーカス達が帰って来た。


「おかえり。獲物、狩って来れた様だね」

「はい、なんとか。これから吊るして解体します」

「うん、頑張ってね」


 マーカス達はベースキャンプ場の外で大樹に巨猪の後ろ足を縛った縄を絡めて引き上げると、首を斬って血抜きをしつつ、腹を裂いて内臓を取り出し【清浄】魔法を掛け、抜いたはらわたの代わりに氷魔法で作った氷を入れて肉から熱をとっていく。

 毛皮も綺麗に剥いで行き、出来上がった毛皮と抜いた魔石は探索者シーカーギルドで売ってお小遣いにするように言っておく。

 

 午前中いっぱいかけて生肉の原木に仕上げると、部位ごとにブロック肉を切り出していく。時折横から口出しをしつつその作業を眺めていると、北の山脈側から複数の気配が寄って来た。


「キュルルゥ!」

「キュァァ!」


 昨日より多くの仲間を連れてやってきた。


「お客さん来たぞ。切り出したブロック肉からどんどん焼いていこう」


 第5ベースキャンプ場内に作ってある竈と鉄板に肉を持って移動させ、次々に火を通して焼いて行く。

 焼かれた肉の香りに釣られて、第5ベースキャンプ場の中に次々とドラゴン達が移動していった。


 切り分けて焼いた肉を餌皿に乗せてそれぞれの青種達の前に並べていくと、青種達は皿の上の肉を見ながらボタボタと涎を垂らしている。少量を人間用に串焼きを作り、ユイエとアーデルフィアがまず串焼きを食べる。次に騎士達にも串焼きを食べてもらう。


 人間達が食べ終わったら、「よし、食べて良いぞ!」と合図を出すと、言葉は通じていないはずだが、それが食べて良いという許可だとは分かったようで、皿に盛られた肉に噛り付いて嬉しそうに尻尾をびったんびったんと地面打ち付けている。

 マーカス達騎士が次々におかわりを焼いて行く。涎を垂らしながら焼かれている肉をそわそわと待っているのをみると、段々とマーカス達にも青種達がかわいく思えてきた。


「食い意地の張った犬みたいで、可愛く見えてきました」

 ポールの感想に他のメンバー達も苦笑いし、同意を返していた。


「嬉しい時の尻尾のびったんびったんは何とかならんのだろうか。木材や煉瓦材の床でやられると割と笑えない破壊力がありそうなだけど」

「犬に尻尾を横振りじゃなくて上下振りしろって教えたら、出来るとおもう?」

「やっぱり無理?されても平気な場所でやらせるのが次善策かな」


 巨猪の原木だった物があっという間に食べ尽くされ、青種達が騎士達にお礼を言うように鳴いてから頭を差し出した。

 騎士達は恐る恐るゆっくりと手を近付け、ユイエ達がしていたように頭や首筋を撫でたり食事でついた汚れを【清浄】魔法で落としたりしてやる。


 頭を差し出して擦りつける様になれば、大分気を許してくれた証拠である。ユイエとアーデルフィアが馬車から騎乗道具を取り出してくると、それを見た青種達がその場で伏せの姿勢をして「くるるぅ」と喉を鳴らす。伏せの姿勢のままだと皮革ベルトを腹下に通しにくいので、身を起こして貰ってから腹下のベルトを固定する。


 それをみて騎士達も騎乗道具を持って来て、それぞれ青種に取り付けさせてもらう。


 ユイエとアーデルフィア、サイラス達10人の騎士がそれぞれ騎乗セットを取り付け終わると伏せた姿勢に戻って背中に乗りやすくしてくれていた。


 青種達に跨り、鐙で青種の甲殻を叩いて合図をすると、立ち上がり翼を広げ、ふわりと浮いてから羽ばたいて上昇していった。


 ユイエとアーデルフィアの様子を見守っていた騎士達も同じように跨って鐙で合図を入れ、空を飛んでもらう。

 しばらく自由に飛ばせてから、手綱で右旋回、左旋回、降下、上昇と方向性の指示が出来るようになった。

 鐙で速度調整の合図を入れてみるが、これは意味が通じず、ちらっと背の人間の様子を伺ってからまた前を向いていた。

 鐙で鱗を叩くのには気付いているらしいのだが、叩く場所を前側、真横、後ろ側で叩き分けているのには気付いていないのか使い分けの意味が通じていないだけなのか。


 騎士達も初飛行に満足し、首筋を撫でながらお礼を言っていた。


「これは高所恐怖症の騎士には無理でしょうけど、馴らせていけばクロイツェン帝国の翼竜ワイバーン兵を超える飛行部隊が作れるかもしれませんね!」

「だと思うじゃん?だけどこいつら結構なビビりだし戦うの苦手っぽくてさー……」

「あぁ、気性的に戦いには向かなそう、だと」

「そういうこと。でも、まぁ伝令とか早馬の代わりが出来て空から索敵が出来る。更には戦場に魔馬より速く駆けつけられる。これだけでも十分強みになると思うんだ」

「確かに。そのくらいの活躍でも十分ですね」


「急いで調教しようとするんじゃなくて、気長にね。一緒に遊んで行くうちに信頼関係作って行ければ良いかな」

「分かりました。その方針で付き合っていく事にします」


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