回転と休息
塩っぽいアスファルトで眠る
キューティクルをひとつまみ
離すとはらりと
汗ばんだ
肌に吸い付く
前方に境界線をつくっているのは
海
空ではなくて
街にはないから
眠っていないとき
ダークでディープでノーブルな
価値創造と
価値破壊を横目に
歯車、カチカチと
動かすのも辛い関節駆動
僅かな脂を挿しては
新しい歯車を作る
波打ち際には
どこの国ともしれないところで
打ち捨てられ
海に揺られてここまでやってきた
砂まみれで黒く
錆びあがった車輪の数々
バラバラになった
回転に煽られ
焦っていることすら忘れて
焦げついたままに
追われる
負われる
終われる
資本主義のゆりかご揺られて
死んだように眠る
眠っていないときの
摩擦の熱の冷めたあなたの
美しい光沢に
月明かりが
触れないのに撫でられたように
艶やかで