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亜美の夢

 亜美は、恵美の双子の姉の名だ。

 親でさえ間違えることがあるほどよく似ている双子の姉。

 鏡の中で、恵美のことを見ていたのは亜美だった。自分そっくりの姉の顔。今思うと、確かに着ていた制服に見覚えがあった。姉が着ていた制服だ。


 なんなのこの夢。

 朝、目が覚めて、恵美はベッドに横たわりながら呆然と天井を見つめた。

 夢は三回続いていた。

 そして、やっと自分が見ている夢が、姉の夢なのだと気づいた。

 井上彩花は実在していて、姉の友人だったのだ。

 

 月曜日の大学の授業は二限から四限までで、比較的早く終わったので恵美は友達と夜ご飯を食べに行くことにした。夢の事をあまり考えたくなかったからだ。

 居酒屋でたわいも無い話をして盛り上がって、結局最後は彼氏が欲しい。合コンしようなどといって、別れた。

 恵美は家に着き、すぐ風呂に入った。

 久しぶりに飲んだ酒の酔いを醒ますように湯船に沈んで天井を眺めると、再びあの夢を思い出した。

 一瞬、冷や汗が出るような感覚に襲われた。今日もあの夢をみるのだろうか。

 階段を上りながら、ふと、亜美の部屋が目に入った。恵美の部屋の向かい側にある一室が、亜美の部屋である。

 素通りして自分の部屋に入り、音楽を聴きながら髪を乾かして机に向かった。

 昨日の夕方に例のカフェに電話をしていたので、水曜日に面接が決まっていた。今日の朝、通学前に駅で証明写真も撮ってきたので、後は面接で愛想良くするだけ。

 それにしても。

 履歴書を書く手を止めて、恵美はふと思った。

 不思議な夢だ。

 だいたい夢っていうのは、客観的に見ているもののような気がする。自分が夢の中で思考したりする夢は今まで見たことがないように思う。昨日、今日と見た夢は、現実と同じように自分が判断して自分を動かしている。


 亜美の夢のはずなのに。


 気味が悪いと思いながらも、あの夢の居心地の良さには惹かれていた。そしていつのまにか、夢を見るのが楽しみになっていることに気づく。 


 今日も見るのだろうか。亜美の夢を。

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