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秘密

「恵美!どこ行ってたの!」


 亜美の痕跡をすべて消してから直樹の家を出たものの、携帯も財布を持ってないことをすっかり忘れていたので歩いて家に帰った。体も心もヘトヘトで家に戻りドアの前で逡巡した瞬間、ドアが開き中から母親が出てきた。

 ドアの中に引っ張り込まれて、すぐさま母親の由紀子はどこにも怪我や傷がないか、恵美の顔や体を確認した。

 由紀子の背後を見ると、心配そうな父親が飛び出してきていた。

「一体どこに行っていたの!連絡もしないで!」

「無事でよかった」

 両親の怒りや、心配を感じて、恵美は堪えきれなくなって泣き出した。まるで子供のように。

 そして、どうしても黙っていられなかった。自分がしたことを。


「私が、亜美を殺したの」

 泣きながら告白する娘を見て、一瞬驚いたものの、由紀子は恵美を抱きしめて、あなたのせいじゃない。と、言った。

「違うの。私のせいで亜美は、亜美は死んだの!私を追いかけてたの!それで事故にあったの」

 嗚咽とともに、吐き出した。

 それでも、両親は、あなたのせいじゃない。と言い続けた。

「恵美、違うの。ごめんね。本当にごめんね」

 謝る由紀子を恵美は仰ぎ見た。由紀子は泣いていた。

「ずっと言ってなかったことがあるの。こっちに来て座って」

 両親に促され、ダイニングの食卓に座らされた。思ってもみなかった展開に、恵美は動揺していた。

 

 両親の寝室から、由紀子は一冊の赤い本を持ってきた。

 

 それは恵美が記していた赤い日記帳とそっくりなノートだった。それを恵美の目の前に置く。

 一瞬、自分の日記帳かと思ったが、栞紐が恵美のは茶色だったが、そのノートは紫色だった。

 訳が分からず恵美が両親を見つめると、靖男が口を開いた。

「亜美の日記帳だ」

「亜美の部屋を整理していた時に、見つけたの」 

 由紀子が続けて話す。

「恵美にずっと黙っていた事があるの」

 由紀子の一言に、恵美が日記帳から目を離して由紀子を見つめた。一体何の話をしているのだろうか。

 黙っていた事?それは亜美の事に間違いないことだけはわかっていた。

 恵美の心情を慮るように、由紀子はゆっくりと口を開いた。

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