01 光を目指して
アルレント王国。
王城アルレントを中心に広がる、この世界でも類を見ないほどの繁栄を見せつけている先進国だ。
そして、アルレントの民住区内、とある路地裏に目立つ人影が三つ。
――――雨が降っている。早暁の空から落ちてくる水滴、その一滴一滴が今の自分に対して何か訴えてきているようで……
「はぁ……はぁ……っん、……に、逃げなきゃ…………」
見た目にして16から17の少女。着ている服は何回か転んでしまったのか汚れており、綺麗だったであろう頃の面影はもう残っていない。
そんな少女は何かから逃げるように、死に物狂いで走っている。
「あ゛ー、どこ行きやがった!
クッソ……せっかく久しぶりに楽しめると思ったのによ……」
どこからか男の怒声が路地裏に響き渡る。
あまりの大きさにその声は少女にも聞こえているだろうが、少女は振り返ることなく走り続ける。
――30分ほど走り続けただろうか。あの声は路地裏を抜けることで聞こえなくなっていた。
私は走るのを一旦止め、追っては来ていないか、あの場所はどこかなどの再確認をしながら歩く。
とりあえず、あの人が言っていた所へ行かないと……
――急に雨の音が大きくなった。私の中から音が無くなる。
パシュンッ
「…………え」
刹那――弾丸のような物が彼女の脇腹を貫いた。
私は体に力が入らず、膝から崩れ落ちうつ伏せに倒れる。
う、うそ……
傷口が熱く、身を切るような痛みが全身に広がる。
自分の中での最大限の警戒はしていた。
なのにどこから……
血が止まらない。脇腹を中心に血液が広がってゆく。
私は意識が朦朧としていくのを感じ、思わず涙がこぼれる。
……ごめんなさい…………
――私の意識は途切れた。