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00 プロローグ
先を見れば数メートル先も見えない真っ黒な空間に、コツン、コツンと音を立てながら歩く一人の男がいる。
男は行き止まりまで来たのか足を止めると、嘲るように口を開き、
「――――今から320年前の話だ。
…………というこの現界の支配者を決める戦いが起こった。
わかりやすく言えば、
この世界を支配したい……とそうされるわけにはいかない……との戦いってわけだ。
――その戦いが終わったのはだいだい100年ぐらい前で、結果は相打ち。
笑っちゃうよな。
そんなに長く戦っておいて結局はどっちも負けとか馬鹿馬鹿しいったらありゃしねえ。おかげに……」
などと言いながら、男は闇へと向かって楽しそうに喋り続ける。
まるでそこに何かいるかのように……
「――そう思うだろう……」