君の手を僕にそっと差し伸べて!
僕は、小さな光を見ていた。
僕の家庭環境は、他の子達とは違う。
母親は、アル中で父親は女を作って僕が5歳の時に出て行った。
・・・あれから15年。
僕の父親は、風の噂で亡くなったと聞いている。
病院のベットで息を引き取る間際に、僕の名前を呼んだらしい。
【最後に! 大人になった息子に一目会いたかった】と言って
息を引き取ったと。
母親は、朝から晩までお酒を飲むようになり僕に暴力もふるって
いた。その後、僕は施設に行く事になる。
母親は、精神病患者になりあれから何十年も会っていない。
生きているのか? 死んでるのか?
もう、僕にはどうでもよかった。
僕の中で、母親は5歳の時に亡くなったと思っていたからだ。
僕を引き取ろうと思う親戚の者もいなかった。
僕は、いつも一人だった。
誰にも懐かず、心を開かず、自分一人で生きてきたんだ。
・・・こんな酷い環境にいれば?
普通は、悪い友達とつるんで刑務所を行ったり来たりする生き方に
なりやすいところだが、僕はそれを選ばなかった。
1人でも、ちゃんと生きていくと決めていたからだ!
僕は、誰にも甘えられない弱音を吐けない泣きたくても涙を堪えた。
一人で生きていくという事は、そういう事だと思っていた。
・・・それでも?
子供の時は、何度も心が壊れそうな時もあった。
あんまりにも苦しくて、自殺も考えた。
生きる事に疲れ苦しみ解放されたかった。
それでも、生きる事を僕は選択した。
僕が、20歳の時に入ったバイト先に初めて僕が心を許せる女性
と出逢えたんだ。
彼女の名前は、『池田こあみ』20歳、女子大学生。
バイト先で、僕と同じ日に入った女の子だった。
彼女とは、直ぐに意気投合して何でも話せる気がした。
初めは、友達として見ていた僕も気がつけば彼女が気になるように
なっていった。彼女もそんな僕に気が付いていたと思う。
お互い想い合っていたんだ。
『ねえ? ずっと僕の傍に居てくれないかな?』
『・・・えぇ!? それって? “彼女として、それとも。”』
『そう、結婚相手としてだよ。』
『うん!』
彼女は、僕を受け入れてくれた。
僕は、初めて僕の気持ちを伝えて受け入れてもらえた事に
驚きと感動を覚えていた。
こんな気持ちは、初めてだったから。
彼女を、これからもずっと大事にしていくと決めた!
僕は涙で前が見えないくらいに大泣きした。
そうすると? 彼女が、、、。
【僕にそっと手を差し伸べてくれた。】
僕は、彼女の手をゆっくりと掴んだ。
彼女は、僕をギュッと抱きしめてくれた。
僕は、彼女の胸で泣いた。
初めての事ばかりで、僕は僕自身の知らなかった部分に驚いていた。
僕も、人間だったんだと後で気づく。
彼女のおかげで、“本当の僕を見つける事が出来たのかもしれない。”
最後までお読みいただきありがとうございます。




