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転生隠者と転移勇者 -ヴァラカスの黒き闘犬-  作者: 拉田九郎
第1章 転生隠者と転移勇者
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転生者と転移者、最低の出会い

 セージは門をくぐると、先端の尖った杭を組み合わせて作った門を引いて閉じ、脇に置いておいた閂がわりの丸太をかけて防護柵に立てた杭と一体化させる。

 その音に感づいてか、三匹のハーピーの子供がロッジの床下から這い出して飛び跳ねながらセージに向かって来た。

 遠巻きに跳ねる子ハーピー達を見て、セージも迎えに歩いていくと、庭の中程辺りで子ハーピー達はセージに飛びついてきて言った。


「おかえりー」

「おかーりとうちゃー」

「おとうちゃー」


「おう、ただいま。いい子にしてたか?」


「してたおー」

「たー」

「かくれんぼー」


 みんなで床下に隠れて、誰に探してもらうつもりだったのだろうか。

 セージは少し困ったように眉根を潜めながら、彼女達の頭を代わる代わる撫でてやる。

 くすぐったそうに目を細めて笑うプチハーピー達。


「そら、足にまとわりついてたら歩けんだろうが。そろそろ離れろ」


「やー」

「いやー」

「だっこー」


 子供達は小さく跳ねてセージの身体をよじ登り、一匹は左腰に、一匹は右腹部に、一匹は首筋に抱きついてしっかりとしがみついてきた。

 子供のあやし方などよく分からず、当惑しつつも子ハーピー達を身体にぶら下げたままロッジに向かうと、簡易砦の外、大きな木の上からラーラが飛翔して降りてくる。


「セージ、お帰り!」


「ああ、ただいまラーラ」


 当惑した表情のままラーラに微笑みかけるセージを見て、ラーラがクスリと笑った。


「おい、何故今笑った」


「だって、おかしくて。貴方ったら前は子供達の事絶対に近付かせなかったのに。一生懸命ぶら下げてるんだもの」


「悪かったな。子供は苦手だ」


 罰が悪そうに明後日の方向を見るセージ。

 ハーピーのラーラは、翼の先の羽で子供達の後頭部を撫でながら言った。


「ほら、みんな。パパはお仕事で疲れてるんだから、部屋に戻りなさい。日も暮れるからね」


「「「やー」」」


「ご飯抜きにするわよ?」


 ご飯抜きと言われると、子供達は一匹、また一匹とセージからポトポトと飛び降りて馬小屋の方に慌てて飛んでいく。飛ぶと言ってもまともに飛べないので蛙が跳ねているのに近い。

 子供達の慌てぶりを見て、セージはため息を吐いた。


「助かった。ラーラ。だが、随分な慌てようだな。厳しくしすぎてやしないか?」


「元来私達は魔物なのだから、厳しく育てないとやっていい事と悪い事の区別がつかなくなってしまうわ。それに、魔性が人間性を上回ってしまうと言語が話せなくなってしまうし」


「よくわからんが・・・。話せなくなるものなのか?」


「魔性が強いと、人間を見る目が、動物を見る感覚になってしまうから。人間だって、ハーピーや他の種族を見たって鹿や猪と同列に区別するでしょ?」


「ああ・・・。コミュニケーションが取れない相手とは、思うな」


「そんな相手の言語なんて、理解するだけ無駄だもの」


 セージとラーラは、並んで連れ立ってロッジに向かって歩き出した。

 鉤爪がある分上手く歩けないラーラは、セージと歩調が合わなくなる度に時折軽く羽ばたいてスキップするように駆ける。

 そんなラーラに振り向いてセージが問うた。


「ラーラは・・・」


「うん?」


「何故、そんなに流暢に言葉を話せるんだ」


「貴方と出会ったから、かな?」


「よくわからんが・・・」


「生まれつきハーピーは人間の言葉を理解出来るわ。エルフ娘が言った通り、人間の男を歌で誘惑する必要があるから。私達に雄はいないからね」


「それと今の問いと、どう繋がるんだ」


「貴方が・・・」


 と言ってラーラはセージの前に躍り出て肩に翼を回して抱きついてくる。


「冒険者達に追い立てられて怪我をした私を、何も言わずに匿ってくれたのよ。もちろん、貴方は最初、「女」という道具にしたかっただけなのでしょうけど。どちらにしても私は命を救われた。妊娠しても、追い立てたりはしないで受け入れてくれた」


「その時の俺に、打算が無かったとは言い切れないがな・・・」


「それでもね。私は貴方という人間と暮らしたいと願ったわ。だから、魔性より人間性が優った。人間を価値のある存在だと思えたら、自然と話せるようになったの。だから、娘達にも鳥の声で鳴くのをやめろとは言わないけど、極力、言葉を話すようにさせているわ」


「そうか・・・。色々考えているんだな・・・」


「当然でしょ?」


 ラーラが力一杯抱きついて、自らの肢体をセージに密着させてくる。

 毛皮の鎧越しとはいえ、ラーラのよく熟れた身体の感触は心地よく、暖かな羽毛の翼に抱かれるのもまたセージの欲情を駆り立てるには充分過ぎて思わず両腕をラーラの腰に回しそうになって、どうにか理性を保って彼女の腰を両手で持って離して言った。


「お前もそろそろ、服を着ないとな」


「あら、魅了されないのね今日は」


「そう毎日魅了されては俺の身体が持たん」


「毎日だって構わないわ。私は」


「全く、そうやって・・・」


 揶揄いやがって、とまでは口にせずにロッジに向かうセージ。

 ラーラもまた、それに何を言うでもなくついて行き、リビングに入ると扉を閉める。

 そして、二人は互いを求め合いながら寝室へもつれるように入ると、ベッドの上で強く抱き合った。





 翌朝。

 セージはけたたましく騒ぐ鳥の声に目を覚ました。

 何事かと股引に上半身裸という出で立ちで寝室を後にするとリビングのテーブルを迂回するように歩き、入口の右の壁にかけて置いた短弓を左手で持ち、すぐ下に立てかけて置いた矢筒を左肩から右腰に下げるとバルコニーに出る。

 階段から庭を見下ろすと、母ハーピーのラーラに翼で包まれながらピーチクパーチクと子供達が騒いでいた。

 ゴブリンか、と緊張した面持ちで階段を駆け下りてラーラの元に向かうセージ。


「何があった。ラーラ」


「わからないわ。子供達が、門の外で人の声や歩く音を聞いたって騒いでいるの」


「クソ・・・。忌々しいジャーカー・エルキュラが。また誰かよこして来やがったか」


 騒ぐ子供達を落ち着かせようと、ラーラの前に回って空いた右手で子供達の頭を代わる代わる撫でてやる。

 すぐに鳥の鳴き声をやめてセージに訴え出した。


「声ー」

「女の人ー」

「うろうろー」


「ん? 来たのはアニアスの方か?」


「耳長の人の声ー」

「声ー」

「ふたーりー」


 何事かを察して、セージは短弓を持ち直して立ち上がった。


「ジャーカーめ、あのエルフ娘を送り込んで来やがったか」


 ラーラに振り返って目配せをする。


「ラーラ、子供達をロッジの中へ連れて行け。馬小屋では壁が薄い」


「誰かが攻めて来たの?」


「わからんが、厄介事だって事は確かだ」


「わかったわ・・・」


 子供達を促すように翼の先で背中を撫でてやる。

 背中を撫でられた子供達は、よく躾けられたもので、一斉にロッジ目掛けて跳んで行った。後を追うようにスキップするように飛んで行くラーラ。

 セージは矢筒から矢を三本抜いて右手で器用に持ち、内の一本を短弓につがえて門の左横に無造作に杭を横にして積んだ台に登ると天端の隙間から覗き込んで外の様子を伺った。

 門の前でうろつく二人の武装した女性を見る。

 一人は、先日のフランチェスカとかいうエルフ娘だ。

 もう一人は・・・、


(なんだ・・・? ジーンズ、に、ブラウス? アジア系の顔立ち、黒い目に黒い髪・・・。日本人に見えないこともないが・・・。不釣り合いな木の小盾バックラーに、素剣ノーマルソード・・・。緊張感の無さから冒険者にも盗賊ギルドの構成員にも見えんが・・・)


 素早く森の奥に警戒を向ける。

 他の冒険者がいる気配は無い。


(不自然すぎる・・・。何だ?)


 物音を立てないように注意しながら、2メートルの高さの杭の影に隠れるように聞き耳を立てる。


「おかしいなぁ・・・。先日までこんな柵無かったのに・・・」


「ここが、フラニーの言ってた性格悪い大男の山小屋なの?」


「間違いないわ。少し助けてもらおうと思ったけれど・・・」


「つまり、イベント発生ね! これはアレね! 山小屋の大男倒されちゃったクエ。この砦を築いた何者かを倒して元の持ち主を救出してくださいクエ」


「あの・・・、昨日からレナの言う言葉がイマイチ理解出来ないのだけど・・・」


「あー、ダイジョブダイジョブ、NPCにそこまで期待してないから」


「NPCが何か知らないけど、失礼な言葉というのはわかるわ」


 セージは女のセリフに眉根を潜めて杭を並べて積んだ台からそっと降りて考える。


(どういうんだ・・・。ゲームか何かだと思っているのか・・・。まさか、本当に日本人か?)


 ともかく、装備を見る限り軽装がすぎる。簡易的とはいえ砦化した山小屋に入ってくる方法はないだろう。

 ロープでよじ登ったり、石や倒木を積んで台でも作れば別だが、日本人の、しかもゲームと勘違いしているような奴にそんな手間をかける頭は無いだろうと、セージはひとまずロッジに戻る事にした。

 階段を軽く駆け上がり、バルコニーを横断して扉を開けてリビングへ入る。

 火の付いていない暖炉の前に乙女座りをして子供達を膝に乗せて翼で抱えたラーラが、セージの様子を伺って言った。


「どうだった?」


「わからん。エルフ娘は相変わらずの軽装だが、一緒に来ている奴は輪をかけて軽装だった。一応はこの小屋が目当てのようだが」


「敵なの?」


「何とも言えん」


 セージは短弓を持ったまま部屋へと戻って歩きながら話す。


「もしかしたら、異世界人かも知れんな」


「大丈夫なの?」


 心配そうに問いかけてくるラーラに振り返りながら寝室の扉のノブに右手をかけて首を振るセージ。


「わからんが、あの軽装では柵を超える手立ては無いだろう。ともかく着替えて、もう一度様子を見てくる」


 そう言って寝室に戻るとタンスがわりに置いた木のコンテナの中からズボンとチュニックを取り出して手早く着替え、壁のフックにかけて置いた熊の毛皮から作った黒い毛皮鎧ファーアーマーを纏い、ベッドに立てかけた両刃斧バトルアックスを背中のマントの首下に設えたフックに乗せて背負うと、部屋を出て再びリビングを後にしようとする。

 ラーラの翼の中から、子供達が心配そうに顔だけ覗かせてセージを伺ってきた。


「とうちゃ」

「わるいひと?」

「わるい?」


「確かめてくるから、そこに居なさい。悪い奴らなら追い返すだけだ。心配は要らない」


「「「あーい」」」


「気をつけてね、セージ」


「心配するな」


 セージは再びロッジを後にして門に向かう途中、唐突に門が轟音を立てて粉々に吹き飛ぶのを目の当たりにして目を見張った。

 ジーンズにブラウスの女が、何とただの直剣の素剣を振り下ろした格好で柵の中を伺っている。


(おいおい・・・。まさかあんな安物の剣で直径90ミリの杭で作った門を突破したとでも言うのか・・・)


 正直、ぞっとしない。

 日本人だった頃に読んだラノベでは、確かに色んなチート能力者が沢山いたが、まさかあの女は異世界転移でチート能力に目覚めたとでも言うのか。

 短弓に矢をつがえて軽い駆け足で庭の中程まで駆けると、素人でもわかるようにと脅しの意味を込めて女に狙いを定めて言った。


「無茶苦茶しやがって、一体何の用だ!?」


 完全武装のセージが明らかに敵対しているのを目の当たりにして、エルフ娘のフランチェスカが慌てて前に出て両手を広げて見せた。


「ち、ちがうのよ!? ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ助けが欲しいから会いに来ただけであって・・・」


「なーになーに!? これってそう言う討伐クエ!?」


 エルフ娘の言葉を遮って嬉々として剣を構える女。

 弓矢を向けられても動じるどころか嬉しそうに構える女を見て、セージは愕然とした。

 恐怖を感じていない。

 むしろ面白がっている?


(まさか、本当にゲームの中と勘違いしていやがるのか・・・。しかし、どうやって門を破壊した?)


 まさに躍りかかろうとしている女の前に出て、右手の平をセージに向けて静止し、左手で女の左肩を抑えて静止させるフラニー、フランチェスカ・エスペリフレネリカ。


「ちょっとレナ、待って! ややこしくなるから!」


「破壊出来るオブジェクトに、完全武装の黒い戦士ときたら、討伐対象以外の何者でもないでしょう? 倒したらどの位経験値入るかな」


「何でそんなに嬉しそうなのよ!! ギルドが言ってた事を鵜呑みにしないでって言ってるのに!」


「えーだって、冒険者ギルドがここを拠点にして構わないって言っててさ。そこに敵がいるなら排除は鉄板でしょ」


「その情報間違ってるし、ここは彼の家だから!」


「つまり、討伐対象・・・」


「あー! もー!! お願いだから剣を収めて!! セージもお願い、お願いだから弓を下ろして!?」


 必死のフラニーに、冷たい視線を向けてセージは冷ややかに言い放った。


「そいつのゲーム脳は置いておいて、この状況で武器をおろせると思うか? それに、どうやって門を破壊した」


「私にも分からないわよ! スキル・ハイトリプルカッター! とか奇妙な呪文唱えながらこの子が剣を振るったら、よく分からないけど突然門が吹き飛んだのよ!!」


「流石レナちゃん、レベル8って要するにレベル80って事ね! やったーつおい!」


「あああ、お願いだから大人しくしてよレナ!」


「いいからいいから、NPCは黙ってて。サクッと討伐終わらせちゃうから」


 レベル8という事は、先日のハリヤとか言う小僧よりは手練れという事になるが、セージの目にはただの素人にしか見えない。

 とは言え、このまま弓を射るとフラニーに当たる。

 止むを得ず矢を矢筒に戻すと、短弓を地面に放って背中から両刃斧を引き抜き右手に構えるセージ・ニコラーエフ。


「エルフ、そこを退け。そいつの好きにさせて見ろ」


「バカな事言わないでセージ、貴方が本気出したら、」

「勝てる気でいるんだろう。好きにやらせろ」


「万が一貴方が負けたら、」


「いいから好きにさせて見ろ。俺も少し確かめたい」


「そんな・・・」


 慌てふためくフラニーをよそに、日本人の女は嬉々として前に出て言った。


「はいはい、私のNPCを虐めるのはそこまでね! これからこの勇者っ娘レナちゃんが、ちゃちゃっと悪い小ボスを片付けるから!」


 完全にセージの事もただの初期の敵キャラか何かだと思っているのだろう。あまりにも舐めた態度に、少しイラつく。


「小娘。本気で俺の事をゲームのキャラだと思っているならその鼻っ柱を叩き折ってやる。かかってこい」


「なーに、その生意気な態度。コテンパンにしてやるから覚悟しなさい!!」


 微笑みながら剣を大振りに振り被って突進してくる女。

 セージはやれやれと首を振り、両刃斧で彼女の剣を受け止めつつも弾き返してやる。

 大振りに振り下ろされた素剣は、面白いほど簡単にその手の中から弾き飛ばされて後方に弧を描いて飛んで行き、先程まで門のあった辺りの地面に突き立った。

 目を点にして引きつった笑みを浮かべて固まる女。


「・・・あれ、手が痛いよ・・・?」


 鋼鉄の壁を鉄棒で思い切り殴って弾き返されたかのような痺れを感じる右手の平を見下ろして、女が冷や汗をかく。

 唐突に右手を宙で左から右に振ると、女の胸の辺りの空中にアイボリーに輝くの本のような物が浮かび上がった。

 その光景に、どうしようもない不安を覚えるセージ。


(何だ・・・? アレは・・・? まるでロストファンタジアのメニューオブジェクトのような・・・)


 セージ、大槻誠司も、仕事上引退したとは言え学生時代には廃人同然にプレイしていたゲームだったので覚えている。

 最も、彼がプレイしていたのはサバンナマップの多いシュレンテフェーベ地方であった為、今いる場所がロストファンタジアに似通っていると言うことには気付いていない。

 その上で、女が淡く輝く本のページをめくっている姿に言いようの無い違和感を覚えていた。


(あの女、何故あんな物を使える? それでゲームと勘違いしているのか? それとも、勘違いしているのは俺の方か?)


 そんな事はあるまい。

 愛しいラーラをその腕で抱いた感触は本物だし、人喰い熊(キラーベア)ガランジャから受けた傷の痛みも、ガランジャの頭蓋を打ち砕いた固い感触も、脳髄を飛び散らせた不快な柔らかさも、全て本物だ。

 この世界で、人は傷つき、血を流し、死ぬ。

 ゲームのようにホームポイントで復活するなどあり得ない事だ。

 セージは構えを解きながらも右手で力強く両刃斧を握りしめて女に向かって一歩踏み出して言った。


「貴様、何者だ。何の目的があってここに来た」


「いやいやいや、ちょっと、ちょっとだけ待って、ちょっとおかしいからコレ・・・」


 明らかに冷や汗をかいて後退る女。

 輝く本とセージを何度も見比べている。


「いやー・・・。いやぁ、おかしいっしょ・・・。勇者力12の私がレベル8戦士なのに、このモブ男がレベル15戦士っておかしいっしょ・・・。ロスファンレベルに置き換えたら、レベル差70って、無理ゲーっしょ・・・」


「この、クソが・・・」


 ゲーム脳全開の女にイライラが募り、大股で前に出るセージ・ニコラーエフ。

 流石に慌てて後退るが、セージと女の距離はあっという間に縮まり、セージは左手で拳を振り上げて女の脳天に拳骨を見舞った。


「あーーーーー! ーーーーーいっっっっっっっっったーーーーーーーーーーーーーい!!!! 何すんだこの唐変木!!」


 涙目でその場に屈みこんでしまう女。

 怒りに満ちた目でそれを見下ろして、次にフラニーに視線を向けるセージ。

 フラニーは申し訳なさそうに頭を垂れて手を腹の前で組んで謝罪した。


「悪かったわよ・・・。話せば長くなるの・・・。こういう事になるとは、予想だにしなかったわ・・・」


「はぁ・・・・・・。とりあえず、壊れた門を治す。手伝え」


 そう言い残して杭の山に向かうセージ。

 エルフ娘のフラニーはそれについて行って杭の加工を手伝って行く。

 あらかじめ杭に窪みを付けて穴を穿った場所を合わせて、ロープを通してきつく縛っていくセージとフラニー。

 そうして門を組み立てている間、女、レナ・アリーントーンは、小坂部麗奈は納得がいかない様子で座り込んだまま輝く本を、メニューノートを仕切りに弄っていた。






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