表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生隠者と転移勇者 -ヴァラカスの黒き闘犬-  作者: 拉田九郎
第1章 転生隠者と転移勇者
11/282

敵か味方かNPC! 今日はやめときます

 プチハーピー達は、小屋の前に蹲って微動だにしない。

 目的地にたどり着いたNPCは、大体が消えるか役目を終えるまでその場に留まり続ける。

 今回のクエストでは、後者なのだろう。

 レナはアイとポニーを伴って小屋に近付くと、木の扉に視線を集中して右手をかざしてみる。

 今までただの背景オブジェクトで、ターゲット出来たことのない扉を、ターゲットする事が出来た。


(なるほど、イベント発生中のみタゲれるわけだ)


 操作可能なオブジェクトは、ターゲットすると視界に緑色の半透明な円が出現する。これに右手でも左手でも、掌をかざすとオブジェクトを操作出来る。

 レナは早速緑色の半透明な円に触れてみた。

 すると、ガチャリ、と扉が開いて討伐クエのボスキャラ、漆黒の隠者が姿を現わす。

 思わず数歩下がってアイとポニーの間に並び、漆黒の毛皮鎧に身を包んだ大男を改めて観察してみる。

 実に精悍な顔立ちの色男であった。


アイ【パーティ】:よく見ると、いい男だね。


ポニー【パーティ】:でも悪役でしょ? 隠者クエやった事ないけど。


レナ【パーティ】:コラキアの冒険者ギルドで発注してくるイケメンエルフの話では、北の魔界からやって来た尖兵だって話だけど。


アイ【パーティ】:話しかけてみたら?


レナ【パーティ】:そ、そうね・・・。


 レナが一歩前に出てみる。


レナ【周囲】:あの、迷子のこの子達を送って来たんですが。


プチハーピーA:パパー、パパー、ただいまー。


ニコラス:遠くに遊びに行くなって言っておいただろう。


プチハーピーA:ごめんなさいー。


レナ(ニコラスって名前だったんだ・・・)


ニコラス:この子達は森で激減してしまったハーピーの子供でね。私が母親共々ゴブリンに襲われている所を助けて以来、ご覧の有様だ。


アイ【周囲】:父親認定されちゃったわけね。


ニコラス:そういう事になる。


ポニー【周囲】:すごーい。会話成立してる。稀少なAIクエだすなぁ。


ニコラス:子供達を無事送ってくれて感謝している。これがお礼の報酬だ。受け取ってくれ。


 ニコラスが右手を差し出すと、三人の視界の下の隅にに片手剣のアイコンと白いメッセージが表示された。


【片手剣:アイスブランドを手に入れた】

【攻撃力:130 追加ダメージ:氷属性 装備可能:戦士、騎士、魔法戦士】


アイ【パーティ】:片手剣で威力100超えって結構強いよね。


レナ【パーティ】:クリムゾンレイピアでも80だからね。これ新しい愛剣にしようかな。


ニコラス:ともかくありがとう。我が帝国が魔族に敗北してここまで落ち延びて来たが、南の民にも心やさしき者がいるようで安心した。だが、私は所詮流れ者。この国では受け入れられまい。出来れば、私がここに住んでいる事は秘密にしておいて欲しいのだが。


レナ【周囲】:は!? ひゃいっ、誰にもいいまひぇん!


ニコラス:ありがとう。

【モーション、微笑み】


レナ(ぎゃーナニコレやだイケメン!)


アイ【囁き】:噛んだね。


ポニー【囁き】:そして悶えてるね。


アイ【囁き】:まぁ、イケメンだしね。一応ね。


ポニー【囁き】:だすなぁー。


ニコラス:それでは、これで失礼する。君達の旅路に、光あらん事を。


 ニコラスが小屋に戻っていくと、後を追うようにプチハーピー達も小屋に入っていき、扉のオブジェクトがパタンと閉じられた。

 しばしその場に立ち竦むレナ・アリーントーン。


アイ【パーティ】:おーい、大丈夫かー? 現実に戻ってこーい。


レナ【パーティ】:はっ!?


ポニー【パーティ】:惚れたって感じですね〜。


レナ【パーティ】:惚れた!!


アイ【パーティ】:マジで!? ちょろっ!!


ポニー【パーティ】:一応イケメンだったしね〜。


レナ【パーティ】:うん。今晩は討伐クエ無理。


アイ【パーティ】:やる予定だったんだ。


レナ【パーティ】:うちのギルドがねー。でも、他のギルドとアラ組むらしいし、面倒だし。今日はあのお方とわ戦えませぬ。


ポニー【パーティ】:日本語おかしいぞなw


アイ【パーティ】:じゃあ、他の事する? 3人いれば取りに行ける宝箱あるんだけど。


ポニー【パーティ】:北の氷エリアに行く途中のダンジョンにレア宝箱配置されたんだー。


レナ(パーティ】:ああ、知ってる知ってる。鍵落とす巨人が結構強いって話だよね。


アイ【パーティ】:レナさん80だから、同格レベルなのね。私じゃ格上になっちゃうから勝てそうになかったんだけど、一緒に行ってくれると嬉しいかなー。


レナ【パーティ】:いくいく、もちろん。あ、ついでにフレ登録してもいい?


ポニー【パーティ】:もちですw


アイ【パーティ】:こちらこそよろしく^ ^


レナ【パーティ】:よろよろw


 三人は、フレンド登録を相互に行うと、小屋を後にした。





レナ【囁き】:タケルくんさんおつおつーw


タケルくん【囁き】:乙ですw まだ集まらないからもちっとまってねw


レナ【囁き】:あー、それなんだけど、今日あたしパスで。


タケルくん【囁き】:え、マジで!? なんで?


レナ【囁き】:うーん。ちょっとフレに手伝い頼まれちゃってさー。それにちょっと疲れちゃったから、手伝い終わったら落ちるかもです。


タケルくん【囁き】:マジで? 残念。


レナ【囁き】:ごめんねー。


タケルくん【囁き】:いいよいいよ。今日のアライアンス説明してなかった俺らも悪いし。


レナ【囁き】:それは正直びっくりした。


タケルくん【囁き】:だよね。ギルマスには伝えとくよ。


レナ【囁き】:さんきゅー、愛してる!


タケルくん【囁き】:照れるぜベイベー!!


レナ【囁き】:それじゃ、また今度ねーw


タケルくん【囁き】:またよろ〜^^ノ


 プチハーピークエ直後のレナ・アリーントーンの心変わりからの、タケルくんとの会話ログより・・・。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ