ジョンの記憶
ジョンは記憶を売る
ジョンは子供の頃の思い出や、大人になって見たり聞いたりした記憶を売って生活している
ジョンは売った記憶を失わない
だから、なんて楽な商売なんだろう、とジョンは常々思っている
この仕事を何と呼ぶべきなのか、ジョンには今でもわからない
それでもジョンは気にしない
ジョンは自分の仕事にルールを定めている
ニセモノの記憶は売らない
ジョンは記憶には限りがあるから、この仕事が一生続けられるとは思っていない
ジョンの記憶を買う人々は、ジョンを神秘的な人だと言う
でも、ジョンは自分の事をそう思っていない
ジョンは他の人とほとんど変わらない
ジョンの周りの賢い一部の人たちは、その事に気付いている
彼らはジョンの記憶を売る手助けをしてくれている
彼らはジョンの限りある記憶で、ジョンの仕事を一生続けさせられる方法を知っている
ジョンは今日も記憶を売る
ジョンの記憶を買う人々は今日も幸せになる
ジョンはこの仕事が好きだ