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星5SSRランク美少女が、無課金な僕にメチャクチャ課金してきます  作者: 黒鉄メイド
これさえ見れば、『2回転目 廃課金系美少女』がすぐ読める! 三分ちょっとで分かる総集編
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総集編1:『無課金系美少女』

 やあ、みんな。

 いつも『星5SSRランク美少女が、無課金な僕にメチャクチャ課金してきます』を読んでくれてありがとう。

 初めましても、初めてじゃない人もこんにちわ。


 僕の名前は無生七芽(むしょう ななめ)

 人生のあらゆる無駄な付き合いや、時間の浪費、やらなくていいことなどを嫌う、人生無課金主義者だ。

 そんな主義を掲げる僕だからこそ、他人の時間もまた無駄にさせるつもりはない。

 だからこれは、今から『一回転目 無課金系美少女』を読むのが面倒臭いという人たちのための総集編だ。


 

◇◇◇



 人生無課金主義者を掲げる僕こと無生七芽(むしょう ななめ)は、転校生で星5SSR美少女の緩木結香(ゆるき ゆか)に、転校初日から告白をされてしまう。


「とにかく私は七芽くんが好きなの! だから私と付き合って!」

「お断りします」

「即答!? なんでなの! どうして私の告白を受け入れてくれないの……っ? 私てもしかして、そんなに魅力的じゃない……っ!?」


 人生無課金主義者である僕は誰とも付き合うつもりはない。

 そのことを話すも緩木結香は引かず、逆に僕の主義に乗っかって、好意の課金を積み上げて、僕を堕とすと宣言してきたのだ。


「私はこれから毎日、君に『好意』を課金していって、必ず七芽くんと付き合って見せる!」


 思えばあの時しっかりと断っておけばよかったのだ。

 そうすれば後々、あんな面倒なことに巻き込まれなくて済んだのに。


「私は絶対に、七芽くんを手に入れて見せる」

「僕は絶対に、誰の物にもならない」


 そしてこの日から、僕らの恋愛課金勝負は始まったのだ。


 手繋ぎ、メール攻撃、褒め殺し、その他。

 緩木はあらゆる手段を使い、僕に対して好意の課金をして、追い詰めてきた。

 だがその時、僕の前にもう一人の星5SSR美少女であり、トップカリスマ読者モデルの綺羅星刹那が現れたのだ。


「あんた、どういうつもりなわけ? 結香に付きまとうなんて」


 彼女目的は、緩木結香に近づく悪い虫、つまり僕を取り去ること。

 そこで利害関係の一致した僕らは、互い手を結ぶことにしたのだ。


「しょうがないわね、こうなったら私が協力してあげるわよ。結香があんたに幻滅するように、手伝ってあげるわよ」

「本当か!?」

「ええ、でもこれで貸し1つよ。この意味分かるわよね?」

「くっ!?」


 ただし、大きな借りを作ることと引き換えに……。


 その後、緩木に誘われた遊園地にて、僕らは振られるための『幻滅作戦』を決行することにした。


 綺羅星の指示の元、デートにおける様々なNG行為を繰り出す僕だったが、緩木はそれを難なくと乗り越えて、僕らを窮地にへと立たす。

 そして等々、綺羅星との関係がバレてしまい、僕は観覧車の中に監禁。絶体絶命のピンチに陥ってしまった。


「──それじゃあ、どうして刹那ちゃんとお話ししてたのか、本当の理由を聞かせてね?」


 僕は綺羅星を一応庇うため、彼女からデートのアドバイスを受けていたと言い続けた。

 一応(幻滅されるため)のアドバイスである。嘘じゃない。


「本当にアドバイスを受けてただけなんだよ」

「本当に?」

「ああもちろん」

「分かったよ! それなら、私がここで七芽くんにキスしても、何も問題はないんだよね? だってこれは《デート》なんだから♡」

「すいませんでした。話します」


 一度は折れてしまう僕だったが、機転を利かして、『何故緩木がそこまで僕のことを好きになったのか』を問い詰めたのだ。

 だが、そこで聞き出せたのは、『美女と野獣』というヒントだけだった。

 僕の反撃は空しく終わり、逆に緩木からとんでもない言葉のパンチを食らうこととなった。


「でもこれだけは言えるよ。

 誰がなんと言おうと、例え七芽くんが私のことを嫌いになったとしても、私は絶対に七芽くんのことが好き。

 七芽くんが例え私を選ばない人生を送ろうと、私は死ぬまで七芽くんのことを愛し続けてる。

 何もかもを失ったとしても、私はどうしてもあなただけが欲しい。

 だからこの気持ちだけは、誰にも譲れない」


 ううぅ……今思い出しても恥ずかしい……何故あの時あんなに真顔で言えたのだ……。

 そう男子高校生をやたらめったら褒めるんじゃねえ。嬉しすぎて死んじまうじゃないか。


 その後、観覧車で言われた言葉が頭から離れず、僕が家で悶々とした日々を送っていると、突然の来訪者が訪れた。


「来ちゃった♡」


 出てみると、そこにいたのはなんと、読者モデルモードの緩木結香。

 あまりにも魅力的すぎる緩木に僕はドギマギして心が揺れ動いてしまう。

 だがそれをなんとか乗り越え、緩木は最後に不穏なワードを残して去って行った。


「本当にありがとうね、七芽くん。私、これからももっともっと頑張れるから!」


 案の定、予感は的中。

 緩木は神戸で仕事中に倒れてしまう。

 綺羅星からのメッセージを受け、僕は神戸に向かうこととなってしまう。


 そこで緩木が倒れた原因が、僕に対して無茶な時間の課金をして、寝ずにゲームをプレイしていたことだったことを知った。


「緩木、お前これまで殆ど寝ずにプレイしてただろ」

「ちょっとだよ……」

「ちょっとだと? 過労で倒れるまでやってちょっとのはずがないだろうが。レベルの上がり方からして、プレイを始めた日からずっとだな」


 そこまでするほどに好きになる理由とはなにか?

 緩木を問い詰めるも、答えない彼女。

 そしてそんな行動をこれからも続けると言ってきたのだ。


「私言ったよね? 

 『例え七芽くんが私のことを嫌いになったとしても、私は七芽くんを好きであり続ける』て。

 だから私は、君の対しての課金を止めるつもりない。

 例えあなたが私を選ばなかったとしても、私はあなたのことを愛し続ける。

 でも七芽くんがまだ誰の物にもなっていないというのなら、可能性が残っているのなら、私は最後の最後まで課金して、あなたを手に入れようとすることをやめない」


 八歩塞がりな状況に頭を抱える僕だったが、そこで緩木の母親と出会い、状況は一変する。

 話を聞くと、なんと彼女の正体は、僕らの小学生時代のトラウマである最狂無欠の喧嘩児『南小学校の黒台風ブラックタイフゥーン』だったのだ。


「緩木、お前の秘密。いや、お前の正体は、『南小学校の黒台風(ブラックタイフゥーン)』だな」

「──なんでバレちゃったのかなぁ? あんなにバレないようにしたのに……あなたにだけは……絶対に知られたくなかったのに……っ!!」


 過去の正体を暴くも、既に彼女は感情を抑えきれず、僕に対しての過度な好意の課金を止められなくなってしまっていた。

 そこにいたのは、黒台風モードの頃の緩木結香。

 彼女を元に戻すには、『付き合う』しかないと彼女に宣言されるが、今のままで付き合っても、課金の暴走を止められず、むしろ悪化してしまうかもしれない。

 

 解決の糸口を探す僕に、綺羅星やゲーム内の親友シンデルヤから助言をもらうことができた。


「私は私の方法で結香を助ける。でもこれだけは覚えておいて、悔しいけど、多分結香を止められるとすれば、それはあんただけよ」

[でも、ジョーカーはジョーカーらしく考えればいいと思うぞ]

[なんだかんだで、これまでもジョーカーは危機的状況を脱してきたじゃないか]

[俺が無課金なお前とこうして話すのだって、気が合う云々の前に、そんなお前を認めているからなんだぜ?]

 

 そして僕が考え付いた秘策、手に入れた切り札(ジョーカー)

 それは――、


「僕が緩木の『サポートキャラクター』になることだ」


 僕は緩木のサポートキャラクターとなって四六時中つきまとい、彼女の生活を無理矢理にでも改善させると宣言したのだ。

 緩木が無茶をすれば、それに付き合う僕にまで跳ね返ってしまう。

 そうすればもう、緩木も無茶をすることは出来ないのではないかと僕は考えたのだ。


「何言ってるのか分かってるの、七芽くん……? それこそ、七芽くんが嫌ってた他人への課金行為じゃない……。そんなこと、あなたに出来るはずがない……!」

「フレンドからキャラを借りることは、課金行為には入らない」


 そしてなによりも。


「大切な友達を助けるなんて、主義を通すよりも先に、やらなくちゃいけないことだろうがッ!!」

「っ!」

「緩木、今から僕らの関係は友達(フレンド)だ。どちらか一方が与えるんじゃない。困っていたら互いが互いを助け合う。それが、これからの僕たちだ」


 それに対して、緩木は爆笑した。


「ぷっ、あははははっ、あははははははっ!! ははっ……まさかそんな力業の屁理屈を持ってくるだなんて思わなかったよ……いかにも七芽くんらしいねっ」


 だが僕のそんなバカな考えを聞いて正気を取り戻し、彼女は元に戻ることができたのだ。

「でもそうか……私が無茶したら七芽くんにまで迷惑をかけちゃうのか。それならもう、私も無茶はできないね」


 正直、暴走していた時の緩木も十分に迷惑だったのだが、解決したのならこの際どうでもいい。

 こうして黒台風事件は終息し、僕らの関係も、ただ緩木から与えられるだけの歪なものではなく、『友達』という正常なものとなって、新たな一歩を踏み出したのだった。


「私はこれからも七芽くんとの関係性を上げていって、必ず君を手に入れてみせる!」

「やって見ろ。僕は緩木の友達だが、お前の物になるつもりはない」

「結香」

「ん?」

「友達なんでしょ? ならゲームの名前と同じく『結香』て呼んで」

「……」

「それとも、私のことを友達て言ったのは口だけなのかなぁ? ああどうしよう! これじゃあ不安で不安で、今にも七芽くんの愛が爆発しそうだよぉ~!」

「くっ……わ、分かったよ……ゆ、ゆぅーかぁ……」

「次間違えたらディープキス♡」

「ああもう分かったよ! 結香だ結香! 結香! これで満足だろうが!!」

「うふふふっ♡ これで私たち、もう友達だね?♡」


 まあ正直、友達としての概念に疑問を持ってしまうところだが、今までのヒモみたいな関係を続けるよりはマシである。

 

 事件も解決し、僕の平穏な日常も帰ってくる。

 そう思った矢先、スマートフォンゲームの『スターダスト☆クライシス』に、一件のメッセージが届いた。


[なあ、ジョーカー。オフ会なるものをしねぇか?]


 そこには、シンデルヤからのオフ会の誘いが記載されていたのだった――。



◇◇◇



 手短に済ませるのが、僕の主義。

 総集編も五分ちょっとで終わる。

 細部の台詞も少しだけいじっているが、総集編だから気にするな。

 それじゃあここからは本編の始まりだ――!

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