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中央本線 甲府駅
甲府駅に到着した。甲府といえば、武田信玄の城下町として有名である。桃や葡萄と言った農産物の盛んな土地で、それらが中京圏や首都圏といった大都市へと中央道や中央本線を通り運ばれている。そのような事情は、穂高が見た貨物列車からも明らかだ。
「なにを運んでるの?」
「甲府周辺の桃や葡萄を乗せて東京のスーパーに出荷しているんだよ。今は旬の食材だから、結構売れてるんだろうな。」
「安曇野ではどんな生産品があるの?」
「機械や果物、野菜、米、蕎麦、ほかにも山葵が採れる。あとお酒もつくっているが、穂高は二十歳になるまで飲んだらだめだな。あ、そうそう、腹減ったから最近巷で話題の『甲斐路周遊弁当』でも食べるか。」
この会話は男子トイレのなかで行われたが、穂高もこれに同意していた。
「よっしゃ、駅構内の『甲州味街道』って店で買ってこよう。」
広高は、その駅弁屋にいくついでにみどりの窓口で駅スタンプを押していった。