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青春18きっぷで脱出  作者: 安曇 穂高
01. 信州への架け橋
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東京駅

「穂高、下りるぞ。」

そう言われて、京浜東北線の電車に乗り換えた。京浜東北線は、この時間には快速は存在しない。全て、この区間では山手線と同一だ。わずか10分ほど、というより10分も経つことなくして東京についた。

 東京駅に京浜東北線で到着した。六番線から一番線へと移動する必要がある。穂高は広高に話しをした。

「こんな人混み初めてだよ。」

「穂高?」

「地元の県から出たことなかった。金を親のギャンブルや暴力に使われるから。」

「長野県民だけど、旅行やら仕事で他県に行ったよ。」

「どこまで?」

「西は島根、広島や四国全県、北は青森。」

「なんでそんなに多いの?」

「親父やお袋が旅行好きだったのと、転勤族だったから。」

「金持ちしかできないと思ってた。」

「穂高、そんなことはないさ。なにせ県境を越えて通勤通学するという人も多いみたいだな、東京では。」

「え?」

「君は親に教えてもらっていなかったのか?」

「そうだよ。親は何にも教えてくれなかった。代わりに痣を受けた。」

 そう言うと、穂高は広高に背中にできた傷跡を見せた。

「…。豊科署の警察に言おう。」

「え。これ警察沙汰なの?」

「当たり前や。こんなことする親など親ではない。日本での当たり前の生活を、君は受けられなかったんだよ。」

「その当たり前ってどう言うことなの?」

穂高がそう聞くと、広高は唖然としていた。

 そうするうち、中央線のホームに到着し、ロングシートに座ったのだった。

「乗り換えが多いね。」

「そのくらい普通や。」

「長野県でも?」

「長野県の場合、高速バス派と電車の『しなの』『あずさ』派に分かれるなあ。鈍くて安いか、早くて高いかの棲み分けってやつ。」

「さっきまで住んでたところだと、歩いて行く、も追加だと思う。」

「アホか。余計に出費が嵩むわ。」

「野宿すれば良い。」

「風邪引くし、虫に食われるわ。」

「それなりの対策…」

「高いわ。」

ボケとツッコミの応酬が始まった。


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