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青春18きっぷで脱出  作者: 安曇 穂高
01. 信州への架け橋
16/36

中央本線 塩嶺峠 1

あの諏訪湖祭湖上花火大会のあと、岡谷・塩尻間にある隧道の中での話である。

 それは中央本線岡谷・みどり湖間を貫く塩嶺トンネル内でのことであった。松本家の乗った普通列車が止まったのは。前を走っていた貨物列車が塩尻駅で人身事故に遭遇してしまい、中央西線、東線、支線、篠ノ井線が一時全て運休したのだ。また、大糸線、飯田線にも大幅に遅れが発生しているらしい。楓花が穂高にこのことを聞いたのであったのだが、穂高はおろかJR東日本・東海両社も分かるわけがない。警察の捜査が終了するまでは列車を動かせないからだ。それを広高から聞かされると、「まだなの?」と楓花が愚痴をこぼしたものの、春花に止められたのであった。

塩嶺峠の直下にその列車はかれこれ三十分は止まっている。四両編成の一番前に乗っていたが、楓花はもう一番後ろの車両に行って、同級生である杏奈と話を始めた。


「いつ電車は動き出すんだろう。」

「車掌さんはあと二時間はかかるって言ってた。」

「遅いね。」

「お父さんは、四つの路線が塩尻駅にはあって、しかも二つの会社に分かれているからって言ってたよ。」

「みどり湖まででも動かしてほしい。」

「特急あずさのお客さんを一旦下ろして停車中。だからみどり湖まででも無理、なはず。車掌さんに聞いたらそういうことだった。」

「あと二時間、何する?」

「しりとりでもして待ってよう。」

「じゃ、楓花からでいい?」

「いいよー。」

「料理」

「竜」

「ウサギ」

「銀行」

「牛」

「島」

「松本」

「友達」

「地下鉄」

「月」

「キツツキ」

...という具合に続いていったものの、しばらくするとやはり同じ列車の二両目に乗っていたという優斗がやってきた。

「あっ、優斗。いま、しりとりやってるけど、やる?」

「じゃ、やるぞ。俺から?」

「え、いま杏奈の番のはずだったから、その次で。」

「わかった。」

「金魚」

「酔っ払い」

「インド」

「丼」

「リング」

「グッチー」

※山口夏美先生(二年一組の担任)の愛称。

「楓花、なんで知ってるの?楓花って、三組じゃなかったっけ?」

「一組の横の女子トイレに行くと、グッチーって呼ばれているのが丸わかり。あそこでスクール水着に着替えていると、丸聞こえになってる。」

「でも、男子トイレからだと全く持って聞こえない。なにせ、女子トイレとの間に分厚いコンクリートの壁があるからな。」

「そりゃ、助平な男子が覗きに来るからだよ。」

「んなわけあるか。グッチーって一組の担任だけど、二組の俺でも分かるぐらいの美人。」

「話を逸らさない!」

 この後、楓花と杏奈は、優斗に聞こえないように車内のトイレで男子の悪口を言いまくっていたというが、実は優斗にだって当然聞こえていた。

「おい、男子の悪口の吐き合いやめろ!」

「言ってない!」

「んなわけがあるか!誰が大和が楓花のスカートめくったとかいう噂流した?そんなの根拠あるわけないだろうが!」

「この目で見たもん。」

「根拠になってない!写真持って来いやー!」

「楓花に語らせろよ!」

すると、「おい、このガキ喧嘩やめろ!」

と車掌が乗り込んできた。この車掌、実は穂高が呼んだことでやってきたのだが。

豊科駅までは近いのに遠いですね。

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