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一ページ目 世界を揺るがすあの生物

登場人物

倉井優希くらいゆうき

武田美麗たけだみれい

倉井真澄くらいますみ

皆さんどうも、倉井優希です。すいません。誰かこの目の前の戦場をどうにかしてください。えぇ、分かってます。分かってますとも。脳内で応答を求めても誰も答えられないことくらい。


『バチィ!』


台所で二人見合って、いや、睨み合っている。右手に返し左手にフライパンを持っている俺の同士であり親友である武田美麗。我が家の中でヒエラルキーが一番高く、俺の母でもある倉井真澄。二人ってそんなに仲悪かったっけ。


『ッ!』


そんな事をして自分の中でそこにいる人物の再確認が済んだところで両者が動き出す。美麗は返しを、母さんは素手で...は!?素手!?いや、危ないでしょ!やばいやばい!


「やめ!」


『がこん!』『バシぃっ!』


俺は距離と瞬発力的に間に合うはずもなく目を閉じてしまった。恐る恐る目を開けてみると、そこにはうちの父さん真っ青な疲弊しきった二人の姿が...相打ちか...いや、母さんどんだけだよ。武器持ちに素手で相打ちって。


「逃したわ」


「の、逃がしましたね」


「...」


「まさかここでやつに出会うなんてね。」


「そ、そうですね。」


「...」


俺も声をかけるタイミングを逃したよ。と、そこで色々理解出来た。いや、実際には「逃したわ」の所で、あぁ、とはなったんだが恥ずかしさが勝って声をかけられなかった。つまりは俺のやめろ!って声は早とちりだと、そして、二人は台所に忍び込んだ噂のモンスターを撃退していたと。


「えーっと、母さん、美麗、何かがいたのは分かるんだけど何がいたの?」


「あぁ、ゆう。実は奴が出たのよ。ここら辺ではよく出るカマドウ...」


「ゆうくん。そうなんだよ。か、カマドウマが出てきたん...」


「へぇ、そうなのか。じゃ、頑張って。」


「動かないで!!」


と、そこで振り返り自室に戻ろうとした俺に向かって叫んできたマイマザー。え?なんで?いや、まさかでしょ?俺は振り返る時、二人が床への視線を俺に移した時点から雰囲気が変わったことに違和感を、いや、恐怖を覚えながらもまさかなと思い、問いかけた。


「まさか、だよな?」


「えぇ、まさかよ。」


「ご、ごめん。ゆうくん。許して!」


「まてまてまて!俺はカマドウマ触れるからどこにいるか教え...るぁ!」


あっぶな!こんの、美麗め!こいつ目をつむりながら返しを振り回してきたぞ!


「なんで避けるの?避けたらあたらっないっ!」


「うぉいっ!危ねぇって!フライパンはシャレにならねぇって!殺す気か!俺はカマドウマ触れんだって!場所教えろよ!って、あっぶ!?」


今度はフライパンを振りかぶり俺に当てようとする。多分あいつ馬鹿だから面積がデカイとかいう理由でのフライパンだ。

っとそこで後ろに向かう布の端と空気を感じた。直後、俺は無意識的にスペースのあった左側にしゃがみつつ素早く移動した。俺がいたはずの所には何故か縦に肌色の残像と阿修羅像が立っていた。


「母さんもかよ!?!?あんた、俺が虫にそんなに抵抗ないの知ってんだろ!?なんで俺を怒る時の伝家の宝刀使ってんだよ!」


「ゆう!何時もは避けないのになんで今避けるのよ!」


「それはあんたの顔が怖すぎて足が竦むんだよ!あんだけやられてまだ普通に話せるのが俺でも怖いわ!」


「あたしが怖い訳ないじゃない。愛情表現よ愛情表現。」


「ざっけんな!なんだその自信!愛情表現ってのも怖いけど今はそれどころじゃねぇ!」


「そうだったわね。で、ゆう、あんたなんで今避けたの?」


「いやそうじゃねぇよ!!!いや、俺が避けたのは身の危険を感じたからだよ!...ふぅ、じゃあ俺からも一つ...」


先の一撃で腰を抜かした俺は体制を立て直し、今まで一番聞きたかった事、そしてこの事件が解決できるかもしれない事を聞いた。


「カマドウマは、どこだ。」


「あぁ、それね、それならもう、ね」


「そうですね。もう大丈夫みたいです。」


「はぁ?いや、あんだけ動いたらどっかに行ったかもしれないけど大丈夫ではないだろ。」


「いや、そうじゃないんだよ。ゆうくん」


そう言って美麗が申し訳なさそうな顔で地面をゆびさした。


そこには変わり果てた姿のカマドウマの姿が...そこで俺の精神は壊れた。


「いいいいいいいいやあぁぁあぁぁぁああぁぁあぁああ!!!!!」


「はっ!ゆうがオカマみたい!」


「ゆ、ゆうくんがオカマだっ!」


俺はこいつらマジで殴りたいと思いながら、この物語の中で一番の被害者である俺が一言いって今日の一幕を終わらせた。


「なんでこうなるんだよおおおおおおおおおお!!!!」


この物語は異世界とか異能とかそんな物には微塵も関わってない、強いて言うなら変人とばかり関わってる倉井優希のちょっぴり田舎の物語である。

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