第四十八話「一日の終わりの甘い夜」
食事を終えた私たちは、部屋に戻って再びトランプで遊ぶことにした。
罰ゲームに関しては私の熱望により無しになったが、それでも十分楽しめたと思う。
そして就寝の時間。
遥とえりさ、そして繭染さんが部屋に帰り、私はゆりちゃんと二人きりになった。
つい二、三時間ほど前にも二人きりにはなれたが、この時間の二人きりはまた別の意味を持つ。
そう、この部屋はダブルではなくツインなのだ。
部屋に入った時に一応は寝る場所を決めたが、しかしそれはそれ。一応決めただけであって、一緒に寝ないとは言っていない。
というわけで、私はゆりちゃんと一緒に寝たいと思っています。
でも、その前に。
ゆりちゃんと一緒にお風呂に入ります。
思えばゆりちゃんとお風呂に入る機会が最近多くなってきて、嬉しい半面少しだけちょっと考えてしまう事がある。
ゆりちゃんって、意外と誰とでもお風呂入ったりするんだろうか、と。
まぁ入るのであればそれでも構わない。そこは私が口を出すことではないだろうから。しかし、誰彼構わず入るとなると、ちょっと不安になるというか、不満というか。
ともあれ、ゆりちゃんがそういう事に抵抗が無い子なのかが、私は知りたい。
「……ひなちゃん、それは本気で言ってる?」
するすると洋服を脱ぎ、生まれたままの姿で私にそう言ったゆりちゃんはなんだか怒っているようだった。
「うん、結構本気だけれど」
「はぁ。ひなちゃん、第一一緒にお風呂入ろうなんて言ってくる子なんて、ひなちゃんくらいしかいないよ。それに、私そんなに誰彼構わず裸見せるような変態でもない」
「いやいや、ゆりちゃんは結構むっつりだから、変態じゃないっていうのは違うと思うよ」
「そこは、まぁ……否定しないけれど」
素直でよろしい。
「じゃなくて。だから、ひなちゃんが心配するような事にはならないから、安心してって事」
「本当に?」
「本当です」
「じゃあおっぱい揉んでもいい?」
「ばか! 何言ってるのいきなり」
そう言うとゆりちゃんは一人でさっさとお風呂場へと入っていってしまった。
ま、最初から分かってたけれどね。ゆりちゃんがそんな子じゃないって。
ほ、本当だよ? 全然疑って無かったし、全然不安とか不満とか無かったし。
それに、ゆりちゃんにもしそういう事をしようとする子が現れたら、私が全力で邪魔をするし。
この問題は、無事解決という事で、今はゆりちゃんの美しい肢体を堪能するとしますか。
「ゆりちゃん、髪の毛洗ってあげるよ。ついでにおっぱいも」
私は急いで服を脱ぎ、ゆりちゃんが待つお風呂場へと入っていった。
「前は自分で洗うからいい!」
とかなんとか言っても、最終的には洗わせてくれるから、ゆりちゃんは私に甘いのだ。えりさが遥に甘いように。
「はー、すっきりしたー」
「内風呂でも足を伸ばせるくらい大きいってすごいよね」
「確かに、家のだとあんまり足伸ばせないからね」
お風呂を堪能した私たちは、髪を備え付けのドライヤーで乾かしながらそんな感想を言い合っていた。
もちろん、私がゆりちゃんの髪を乾かしています。当たり前だよね。
「それで、今日は一人で寝る? それとも、私と寝る?」
分かり切ったことを今更訊くのは面倒だが、しかし同意を得なければゆりちゃんも私も安心して眠れないだろうし、一応念のため万が一のために訊いておくのだ。
「うーん、本当は一人でゆっくり寝たいけれど、でもそれだとひなちゃんが寂しがっちゃうから、一緒に寝てもいいよ」
ちょっと上からのゆりちゃんも可愛い。
「でも、だからってべたべたくっついたり触ったりするのはダメだからね」
「えー。でもでも、抱き着いたりするのはありだよね?」
「……仕方ない。それくらいはいいよ」
「ありがと。まぁ今ダメって言われても後でこっそり抱き着こうとしてたんだけれどね」
「訊いた意味ないじゃない……」
それはほれ、訊いておかないとゆりちゃんにお説教されちゃうし。
「念のために言っておくけれど、今私たち修学旅行でここに来てるんだよ? そういう事をするために来たんじゃないの。分かってる?」
「分かってるよ。だから抱き着くだけで済ませるの」
「本当にそれだけで済むの?」
そうやって誘うような言い方するから我慢できなくなるんじゃない。
いや、もしかしたらこれはゆりちゃんが遠回しに誘っているのか? そうかもしれないけれど、そうじゃないかもしれない。
こういう時は、あれしかない!
「私は我慢できるからね。ゆりちゃんと違って」
「その言い方だと私が我慢できないみたいじゃない」
「だってそうでしょ。私が言えばすぐ許してくれるじゃん」
「だって…………うー! だって私から誘ったら破廉恥な子だって思われそうで」
か、可愛い。もうその言い方だと誘ってるとしか思えないっていうか、完全に襲ってもいいよの合図ですよねこれ。
「大丈夫、私もうゆりちゃんがむっつりすけべだって知ってるから」
「ひなちゃんほどじゃないもんね!」
「はいはい」
こうして、私たちの甘い夜は更けていき、長かった修学旅行一日目が終わりを迎えた。




