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1、20190212

僕宛てに届いた塾の勧誘ハガキの宛名面。宛名面とはいえ、僕の名前や住所が書かれてある部分以外はそこかしこに先生の写真やカラフルな勧誘の文言で埋め尽くされているので紙面はにぎやかである。冬が過ぎて1年の役目を終えようとしているこたつに僕が入っていて、布団を挟んだ僕の膝の上に置かれた状態で写っている。何を思ってこんなものを撮ったのか、7年が過ぎると自分でも見当がつかないものだ。色あせた写真の隅々まで、少しでも手がかりをと目を凝らしていると、宛名の下に写っている講師たちの中に1人、赤色のボールペンらしいもので顔を丸く囲まれているのがあった。眼鏡をかけて、写真の具合で黒にも青にも見えるネクタイをした少ししゃくれ顔の男。この男の顔の周りを、赤いインクが何重にも走っている。それを見つけてなおはっきりとした記憶は思い起こされないのだが、見覚えが全くないわけではないような気がする。さして特徴的な顔つきというわけでもないので、完全に「そんな気」でしかないものの、事実として7年前の僕はこの男のことを少なからず関心を持って見ていたのだから、俄然不気味に思え、気になった。

ただそうはいってもこの男の素性を特定する手段があるわけでもなく進展はさほど無かったのだが、夕食の時間に母にぽろっとこのハガキの話を漏らすと、なんとこの男はこのハガキが僕あてに届いた数週間後に電車内での盗撮で逮捕されていたのだった。そして僕はニュースでそれを知るなり、それまでどうともしていなかったハガキを取り出し喜び勇んで彼の顔に印をして写真に収めたというわけである。

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