遅れてきた柚子マーマレード
「ぽんちゃん、これでなんか作れる?」
大量の柚子がどっさり。しかも丸くて大きい。買い物袋2つ分ある。
「どうしたの、こんなにたくさん」
「もらった」
カピちゃんは困惑中。
「誰からもらったの?」
「近所のおじいちゃん。庭が森みたいな家の。」
「ああ、あそこかぁ」
「どうしようか、、、」
うーん。
この柚子は晩生種で今が収穫時期みたい。
でもあんまり長く保管できないし。
何個かは冷凍庫にいれて、薬味に使おう。
お風呂の時にもたくさん使おう。
残りはどうしようか。保存がきく、柚子マーマレードを作ろうか。パンに塗ったり、ホット柚子ドリンクにしたりするとおいしいよ。
コクコク
カピちゃんは目を細めてうなずきます。
さっそく材料を揃えます
- [ ] 柚子 7個
- [ ] 砂糖 350g
これだけ。
最初に柚子を絞ろう。
横半分に切った柚子をレモン絞りで絞って汁はボールに貯めておく。皮は細切りにして、お鍋に入れて、ヒタヒタに被るくらいの水を入れる。
薄皮と種は捨てないで、別の鍋で煮ていくよ。だんだんトロトロになるので、あとで合流させる。ペクチンというらしい。
柚子の皮は、ただ煮るだけだと、皮の苦味がすごい。だから最初にある程度(7分くらいかな)煮立てたら、橙色になった煮汁を捨ててしまおう。それから新しい水を入れて、煮詰めていく。
あんまり煮過ぎると、鮮やかさがなくなり、ブラウン色になってしまうよ。だから、鮮やかだけど火が通っている状態を見極めて、火を止めよう。
別の鍋で茹でていた、種から出たトロトロの液を合流させて、砂糖入れて、煮詰めて完成。最後に絞った柚子ジュースを入れてフレッシュさを加える。
もう少し硬めにしたければ、タネだけ直接合流させて煮詰めてみよう。頃合いになったら、あとでちまちま取り出す。トロリ鮮やかな柚子色のマーマレードになれば満点だ。
熱いうちに、いくつかのビンに分けて入れよう。熱いうちに蓋をしておけば、水蒸気の力で真空になるよ。冷めたら冷蔵庫に入れておこう。
「ぽんちゃんはなんでも良くできるね」
「ううん。最初に作った時、茶色になっちゃって、すごく苦くて大失敗。その次は固まらなくて、柚子シロップに何度もなっちゃった。微妙な煮加減で変わるから難しいよ」
「まあ何度も失敗しないとわかんないね」
「そうそう」
「あれ?2人で何してるの?」
まるちゃん、しまちゃんがひょっこり。
「甘酸っぱい香り、おいしそう」
「食べたい食べたい」
それじゃ、試しにパンに塗って食べようか。トーストした食パンにバターを塗って、柚子マーマレードを塗ってと。
「いただきます!」
ハグハグ、おいしい。
バターの風味とさわやかな柚子の香りと味。
もぐもぐ
はむはむ
みな夢中で食べています。
「甘酸っぱくて、おいしいね」
「何か飲み物ほしい」
ちょうど、ぽんちゃんは飲み物を用意しています。コップに柚子マーマレードを大さじ1とお湯を入れて、よく混ぜて。ホット柚子ドリンクにします。
あちあち
ゴクゴク
ビタミンたっぷり。
肌荒れに良さそう。
口の中、さわやか。
「ごちそうさま」
「まだいっぱい作ってあるからさ。好きな時に食べて。」
「それにしても、いっぱいあるね」
「そうだ。みんなで、おじいさんにお礼しに行こうぜい。柚子マーマレードを持ってさ。」
カピちゃんに連れられて、みんなでおじいさんの家に向かいます。
「ありゃ、みんな揃って。どした」
庭の方を見ると、顔を赤くした、おじいさんが縁側に寝転がっています。
「たくさんの柚子ありがとう。マーマレードを作ったから焼酎で割って飲んで。」
「こりゃ鮮やかで良くできてる。すまんね。」
おじいさんは早速、今飲んでいた焼酎のお湯割りに、柚子ジャムを小さじ一杯落として、ぐびりと飲みます。
「こりゃ、うまい。我が家特産の柚子焼酎だ。」
おじいさんは大喜び。
良かった良かった。
ぽんちゃんたちは顔を見合わせて、にんまり。
この後、、、縁側で日向ぼっこしながら、お茶とお菓子をもらいました。
色んな話がありました。柚子を植えた日のこと。実をつけるのに10年もかかったこと。過ぎてしまえば、あっという間だったこと。
あまりに長い時間の話で、よくわかりません。だけども、森のような庭を見ていると、おじいさんが長い間どれだけ大事に育てて来たのかが分かる気がします。
カピちゃんはこういう緑豊かな場所が大好きです。高木、中木、低木、地被類と、森の中に森があります。おじいさんが意識的に植えて育ててきたのでしょう。
「こいつはな、前から庭をチラチラのぞいておってな。いまは昼寝スポットにされとるわい」
目の前には立派な柚子の木が風を受けてサラサラ。木々の根元には、小さな赤い実をつけた植物が鈴なりになっています。コブシの花のつぼみが大きくなってて、今年も早めに花を咲かせそう。
「また、みんなで遊びにらっしゃい。わしが元気なうちはこのままじゃから」
おじいさんは少しさびしげに言います。
そんな時、縁側で寝そべっていたカピちゃんは、急に鼻からプゥとイビキをたて出しました。不意を突かれ、みな顔を崩して笑います。
それにしても、ここは気持ちいい。
ぽんちゃんが自分の森を作りたいと思い始めたのは、ちょうどこの頃のことです。
おしまい




